• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実績報告書

村落档案史料を用いた近現代中国華北農村社会史像の再構成

研究課題

研究課題/領域番号 18H00721
研究機関東京学芸大学

研究代表者

田中 比呂志  東京学芸大学, 教育学研究科, 教授 (90269572)

研究分担者 山本 真  筑波大学, 人文社会系, 教授 (20316681)
内山 雅生  宇都宮大学, 国際学部, 教授 (30151905)
林 幸司  成城大学, 経済学部, 教授 (30612775)
祁 建民  長崎県立大学, 国際社会学部, 教授 (70448819)
古泉 達矢  金沢大学, 法学系, 教授 (90724831)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード村落档案史料 / 華北農村 / 山西省
研究実績の概要

令和3年度は、前年度と同様に中華人民共和国・華北地域を訪問して、村落档案史料補充のための聞き取り訪問調査や、新たな村落档案の発掘・閲覧・収集のための訪問調査を実施する予定であったが、コロナウィルス感染症の終息が実現せず、調査することができなかった。そこで、旅費に使用する予定であった補助金を、史料や研究文献の購入に充てるとともに、これまでに収集した道備村档案史料、華東師範大学で収集した山西省人民公社関連档案史料を読み込み、検討を進めた。
また、村落档案史料の閲読に加えて、村落档案史料収集と並行してこれまで13年間にわたって実施してきた中国農村訪問聞き取り調査の記録を再検討し、それを『中国の農民は何を語ったか』(汲古書院、2022年3月出版)という一書にまとめて出版した。
さらに、村落档案史料や華北農村訪問聞き取り調査をきちんと歴史に定位し、1949年以降の変化と連続性を確認・理解するために、「解放」前の山西省の村落の社会経済的状況を農村調査資料を使ってやや長めの時間軸の中で検討した。さらには村落档案史料が1949年前後から1970年代前後までの期間に作成されたものであることから、「解放」前の中国農村の状況、当該時期の山西省における中国共産党の活動や支配の状況、農民生活の状況、農村変革の状況、当該期の都市知識人の「下放」運動(「上山下郷運動」)等の研究書等を検討し、村落档案史料の内容の相対化を試みた。さらに将来的な利用を見込んで、山西省档案館の利用に関しても検討を進めた。
なお、研究全体の推進を図るため、オンライン会議・研究会を5回実施した。また、書評(『現代中国の農村発展と資源管理』)を通じて、検討方法の相対化も行うことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナウィルス蔓延状況に起因して、新たに村落档案史料を閲覧・収集することはできなかったが、これまでに収集した膨大な村落档案史料を利用して、1949年前後から1970年代に至る間の華北・山西省の村落の詳細な歴史的実態に接近することは順調に進展している。また山西省の農村を「解放」前からの時間的連続性の中で検討して、「解放」前後の変化を捉えること、また当該期の山西省の他の村落の状況と比較することを通じて相対化することが出来たので、「おおむね順調に進展している」と評価した。

今後の研究の推進方策

令和4年度は5年間の研究期間の最終年度に当たる。まず、これまでの研究成果をまとめ、12月に国際研究ワークショップ(仮題ではあるが「中国農村研究と史資料」というテーマとする予定)を開催する。中国側から研究協力者である数名の研究者に参加を募り、本科研研究メンバーを交えてワークショップを実施したい。コロナウィルスの蔓延状況を慎重に見極め、場合によればオンラインでの開催としたい。また、引き続き収集済みの膨大な村落档案史料の検討を進めていく。また、『中国の農民は何を語ったか』にまとめた聞き取り調査以外にも農村訪問調査の記録があるので、それらを再検討して当該期の山西省農村の社会・経済的状況の全体像を把握することに努めたい。さらに、可能ならば華北の農村を訪問して、村落档案史料のさらなる閲覧・収集を実施したい。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 書評 山田七絵著『現代中国の農村発展と資源管理』2021

    • 著者名/発表者名
      田中比呂志
    • 雑誌名

      中国研究月報

      巻: 878 ページ: 39-41

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 動向 文化 歴史学(青山治世との共著)2021

    • 著者名/発表者名
      山本真
    • 雑誌名

      中国年鑑

      巻: 2021年版 ページ: 228-230

  • [雑誌論文] 動向 文化 概観2021

    • 著者名/発表者名
      山本真
    • 雑誌名

      中国年鑑2021年版

      巻: 2021年版 ページ: 203-203

  • [雑誌論文] 1920年華北大飢饉下の威海衛における救荒政策2021

    • 著者名/発表者名
      古泉達矢
    • 雑誌名

      東洋史研究

      巻: 80-1 ページ: 104-137

  • [学会発表] 『支那時報』とその華中・華南関係記事--「満洲事変」までの期間を中心として--2021

    • 著者名/発表者名
      田中比呂志
    • 学会等名
      シンポジウム「東洋文庫刊『戦前日本の華中・華南調査』をめぐって」
  • [学会発表] 戦時期の華南調査について――福建・広東を中心に2021

    • 著者名/発表者名
      山本真
    • 学会等名
      シンポジウム「東洋文庫刊『戦前日本の華中・華南調査』をめぐって」
  • [学会発表] 第一次世界大戦期のイギリスによる中国人労働者の徴募活動について2021

    • 著者名/発表者名
      古泉達矢
    • 学会等名
      九州史学会2021年度大会東洋史部会
    • 招待講演
  • [学会発表] アヘンと『近代世界』2021

    • 著者名/発表者名
      古泉達矢
    • 学会等名
      歴史学会第46回大会シンポジウム
    • 招待講演
  • [図書] 中国の農民は何を語ったか2022

    • 著者名/発表者名
      祁 建民、弁納 才一、田中 比呂志
    • 総ページ数
      620
    • 出版者
      汲古書院
    • ISBN
      9784762967061

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi