研究課題/領域番号 |
18H00723
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
舩田 善之 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 准教授 (50404041)
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研究分担者 |
鈴木 宏節 神戸女子大学, 文学部, 准教授 (10609374)
小沼 孝博 東北学院大学, 文学部, 教授 (30509378)
小倉 智史 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教 (40768438)
中村 篤志 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (60372330)
山本 明志 大阪国際大学, 経営経済学部, 准教授 (70710937)
岩尾 一史 龍谷大学, 文学部, 准教授 (90566655)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 中央ユーラシア / 交通史 / モンゴル / ステップ / ゴビ / チベット / 青海 / 唐 |
研究実績の概要 |
本研究は,前近代の中央ユーラシアにおける南北の交通の実態,及び当該地域の諸集団による交通システムの構築・維持への主体的な関与のあり方を解明することを目的とするものである。第二年度である本年度は,初年度の現地調査によって得られた情報・知見に基づく分析を進めるとともに,計画に基づいて,史資料の収集・整理と解読を行い,二回の研究会の開催,中華人民共和国青海省における現地調査を実施した。 研究会では,研究の進捗状況の確認と現地調査を含む研究計画の打合せを行うとともに,現地調査及び各メンバーの研究成果の共有と議論を目的とする研究報告を行った。代表者の舩田及び分担者の小沼(2件)・山本が報告を行ったほか,清代青海を専門とする岩田啓介(日本学術振興会特別研究員)を招き,本課題に関わる重要な史資料・現地情報を得ることができた。 8月末から9月初めに中国青海省において,西寧から玉樹に至る南北交通に関わる遺跡と遺物を調査した。吐蕃・唐からモンゴル・ジュンガルなどを経て,清に至るまでの,城郭・寺院・交通に関する史跡,石碑や岩壁銘文などの文字資料,博物館展示の遺物資料を調査した。これらと並行して,黄河・長江の上流域の水系とその渡河地点(通天河渡口),日月山(ニンダーラ,グング・メル山),バヤンカラ峠など,交通に密接に関連する景観やランドマークの確認を行った。また,青海民族大学のチベット語文献の文献室を見学し,史料収集状況を確認した。以上を通じて,チベット高原の農耕・牧畜地帯を貫き、フフノールのステップ地帯,河西回廊の農耕地帯,さらにモンゴル高原・トルキスタンや中国本土へつながる交通路を検討するための重要な情報を獲得することができた。 成果公表面では,国内外の学術雑誌における論文掲載,国内学会・国際学会などにおける研究発表,図書分担執筆及び国際共同研究集会開催の形で幅広く行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
史資料の収集・整理と解読,現地調査とそれに基づく史資料情報の収集をおおむね計画通りに行うことができたため。 なお,2020年3月に研究者を招聘して講演会を開催し,関連する研究情報について交換・議論する予定であったが,新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け,中止するに至ったが,経費の繰越申請が承認され,2020年12月に小倉が研究打合せと研究機関における調査を行い,補完する研究情報を収集し,議論を行うことができた。 研究成果の公表については,学術雑誌論文2件(うち査読付1件,国際誌・海外誌1件),研究発表15件(うち招待講演11件,国際会議発表6件),図書2件(分担執筆)を数え,ほぼ計画通りに成果を公表することができた。また,山形大学人文社会科学部で「遊牧社会の「日常」を描く:清代モンゴル史研究の新視角」と題する国際共同研究集会を開催し,研究協力者のオユンジャルガル氏を招き,研究分担者の中村が共同で講演をした。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画書に基づき,史資料の収集・整理・分析を進め,研究会を開催し,研究情報の交換と討論を行い,また現地調査を実施することにより,最新の史資料情報を収集する。また、論文投稿・学会発表を行い,研究成果を順次公表する。新型コロナウイルス感染症の状況に応じて,一部の計画については柔軟に対応する。
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