研究課題/領域番号 |
18H00729
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
青島 陽子 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (20451388)
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研究分担者 |
松里 公孝 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (20240640)
小森 宏美 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50353454)
福嶋 千穂 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (50735850)
梶 さやか 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (70555408)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ロシア帝国 / 民族問題 / ナショナリズム |
研究実績の概要 |
2018年度は、当該研究プロジェクトのスタートの年度であるが、2018年2月に行われた国際シンポジウムを継承する形で当該研究を開始したために、スムースに研究活動を進めることができた。特に、2018年度は、ロシア語での研究対話を重視し、2018年2月の国際シンポで招聘できなかった、研究対象の主要国であるベラルーシとロシアの研究者との対話を深めることができたことは意義深かったと言える。2018年5月には、研究代表者が、ロシアの科学アカデミーペテルブルク支部開催の国際シンポジウムに参加し、20世紀初頭のロシア帝国の民族政策に関する報告を行った。また、2018年6月には、共同研究を行っているリトアニアの歴史学研究所との共催で、ベラルーシの歴史研究者7名をヴィルニュスの歴史学研究所に招き、ロシア語でロシア帝国の民族政策を検討する国際会議を開催した。前者のロシアでの国際シンポジウムの成果は書籍にまとめられ、研究代表者も論考を寄稿した。さらに、研究プロジェクト全体の研究成果となる書籍の出版に向けてすでに動き出し、英文論文を集め、互いに意見を述べ合うことで、内容の精査と深化を目指した。英語のネイティヴ・スピーカーが少ないので、英語の洗練にも力を入れた。この作業は予定よりも遅れ、2019年度にも継続されたものの、満足のいく形で作業を終えることができた。 また、研究代表者は、19世紀の統治官僚の改革政策を全般的に分析し、彼らが帝国全体の改革と帝国辺境の諸問題をどのように関係づけていたのかを明らかにした。分担者も、それぞれの担当地域における民族問題や宗教問題を分析し、成果につなげた。現代の情勢との連関や、史学史的な問題に関する探究もなされ、研究プロジェクトをさらに進化させることとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度の研究プロジェクトの進捗状況は、おおむね順調に進展したと言える。上述の通り、2018年度は英語圏での学術対話のみならず、ロシア語圏での学術対話を進化させることができた。また、研究プロジェクトの成果発表向けて英文論文を蒐集し、それらに関する執筆者相互の意見交換を進めた。この作業は、個々の論文の執筆者の諸問題から遅延が生じたため、当初の計画から遅れ、作業全体が2019年度にずれ込むことになった。しかし、2019年度中には予定通りの作業が行われることになり、最終的にはこの作業は1年の遅れで終えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
現在のCovid-19の感染拡大によって、2019年度末に予定していたロシアへの資料収集のための出張を取りやめざるを得なくなった。現在、ロシア・ヨーロッパの感染状況は不安定であり、どの段階で渡航し、資料調査・収集が可能となるか、今の段階では不透明である。しかし、当該プロジェクトの完遂を考えると、現地での資料調査・収集は不可欠であり、状況の改善を待つことになる。その間、すでに進行中の論集のプロジェクトを進めることで、現在までの研究成果の確実な発表に向けて鋭意努力することは重要であろう。また、手持ちの資料や海外からの図書の取り寄せなどによって、現地調査が可能になった際に効率的に研究を進められる準備を行っていくことに力を入れることになろう。
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