研究課題/領域番号 |
18H00732
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
池口 守 久留米大学, 文学部, 准教授 (20469399)
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研究分担者 |
坂口 明 日本大学, 文理学部, 教授 (10153876)
豊田 浩志 上智大学, 文学部, 教授 (20112162)
堀 賀貴 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (20294655)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | エルコラーノ / 動物考古学 / レーザースキャン / 下水道 |
研究実績の概要 |
エルコラーノ遺跡管理局およびブリティッシュ・スクールとの間で研究協力協定を締結し,エルコラーノおよび比較対象としてのポンペイについて,当初予定していた遺跡・遺物調査の一定部分を9月に実施することができた。下水道の獣骨の出土状況については,現地で資料・データの受け取りと聞き取りをした上で,サレント大学考古動物学研究所に獣骨を搬送して分析とデータ処理を開始した。また,データの処理方法を中心とするテーマでヨーロッパでの研究会発表を実施するなどして,本研究の意義を一定程度アピールすることもできた。データの加工は動物考古学の分野でさまざまに議論されてきた問題であるが,研究協力者との間で意見交換と調整は進んでおり,成果発表までには方針を固める予定である。本研究のもう一つの柱であるレーザースキャンについては,新規導入した近距離(2-20m)をスキャンレンジとするライカ社製BLK-360について,国内において試験的なスキャニングを実施した。(これまで運用してきた位相型の中距離スキャナーに比べ,近距離でも誤差がやや大きく,また暗所で露出不足によりRBGデータが紫変する傾向があるが,可搬性とスピードの速さが特徴的で,高所や凹部などの利用で有利となるし,複数のスキャンデータを合成すれば相当に精度を高められる可能性がある。)また排水処理の研究に関連して,上階トイレの調査をほぼ完了し,今後はその意味についての考察を深める予定である。組合に焦点をあてた商業空間に関する調査も,順調に進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が在外研究によりほぼ一年間にわたって海外に在住したため,研究代表者のもとで書籍や物品の購入ができず,それらを用いた予備調査が十分にできなかった。また,同じ理由により,研究代表者がチームとしての遺跡・遺物調査に合流できなかったため,遺跡管理局との意思疎通が円滑でなく,調査許可の取得が当初予定に間に合わない部分もあった。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者は在外研究を終えて帰国したので,あらためて必要な物品・書籍を揃え,本年度の遺跡・遺物調査に備えたい。例年よりも前倒しで調査申請を行い,8月から9月にかけてチーム全体での調査を実施する。調査を十分に統括し,研究内容の深化と成果獲得の加速を目指す。
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