研究課題/領域番号 |
18H00740
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
新里 貴之 鹿児島大学, 総合科学域共同学系, 助教 (40325759)
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研究分担者 |
樋泉 岳二 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (20237035)
米田 穣 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
高橋 遼平 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (40728052)
庄田 慎矢 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (50566940)
黒住 耐二 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (80250140)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 中之島 / 弥生時代 / 平安時代 / 軽石製品 / 平島 / 清朝磁器 |
研究実績の概要 |
今年度は,トカラ列島平島に明治27年に漂着した無人中国船由来の清朝磁器についての講演を行った(5月末)。また,清朝磁器再確認のため,平島現地調査を実施した(6月末~7月初)。ある民家に保管されていた双喜文青花碗完形品1点は,平成29年度の家屋のリニューアル工事の際に紛失していた。しかしながら,ある民家には散蓮華完形品が保管されており,資料化することができた。また,昭和後半~平成初頭に民俗調査を実施した下野敏見氏所蔵写真のうち,陶磁器類について各戸を訪問しながら聞き取り調査したところ,かつて保管していた民家を特定することができ,また,カニの造形文をもつ鉢,色絵も各戸に保管されていたことを確認した。さらに,島外在住の元平島住民宅に,漂着船由来の「シナ茶碗」としてセットで保管されていることを突き止めることができた(7月前半)。 また,中之島では平成29年に神社の本殿を取り壊し,拝殿を改装して一殿化したことを確認したが,その際に宋代・明代・清代白磁・青磁・青花,肥前染付,瀬戸産(?)施釉陶器などの完形品が廃棄されていたため,これらを区長に断って拝借し(7月末),資料化,発表した(2月末)。 平成30年8月末~9月初にかけては,地主神社敷地内(宮水流遺跡)第2次発掘調査を実施した。神社拝殿前の段(4Tr)と,平安時代の遺物が出土した南側広場の拡張(3Tr拡張)を行った。4Trでは弥生系土器・磨製石鏃などが多量に出土し,平安時代の遺物も出土した。今回は土坑やピットを確認することができ,居住域であることが判明した。3Tr拡張部では時間切れで平安時代の土師器・須恵器・越州窯系青磁の包含層確認のみとなったが,30~40cm前後の楕円礫が飛び石状に配列していることを確認した。また,平安時代の層に半分埋もれた状態で,10cm前後の軽石製円礫の加工品も出土し,トカラ列島で初めての出土例となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度の平島調査においては,明治27年漂着無人中国船由来であると考えられる清朝磁器完形品の種類が,青花碗だけでなく青花散蓮華も含まれており,また,カニ造形文鉢(陶器),赤絵碗なども含まれていた可能性に言及できるようになってきた。また,中之島においても宋・明・新代の中国陶磁器を中心とした完形品の廃棄資料を借り受けることができた。 さらに中之島宮水流遺跡発掘調査では,弥生時代・平安時代の遺構の存在から居住域をほぼ認定することができ,平安時代の配石とともに,トカラ列島初となる軽石製品も得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度にも中之島宮水流遺跡発掘調査を予定しており,平安時代層については広範囲の発掘調査を予定している。また,効率良く発掘ができるよう,発掘調査前に地中レーダー探査も実施予定である。
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