研究課題/領域番号 |
18H00740
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研究機関 | 沖縄国際大学 |
研究代表者 |
新里 貴之 沖縄国際大学, 総合文化学部, 准教授 (40325759)
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研究分担者 |
高宮 広土 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 教授 (40258752)
黒住 耐二 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (80250140)
樋泉 岳二 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (20237035)
米田 穣 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
庄田 慎矢 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 企画調整部, 室長 (50566940)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | トカラ列島 / 中之島 / 宮水流遺跡 / 縄文時代 / 弥生時代 / 平安時代 / 貝塚文化の北限 |
研究実績の概要 |
コロナ禍によって先送りされていたトカラ列島中之島宮水流遺跡の発掘調査を実施した。3トレンチの拡張を行い、上層から平安時代の層、弥生時代の層、縄文時代の層を明確にすることができた。また、遺物量も増加し、それぞれの時代の遺物組成を明らかにすることができた。 平安時代の遺物は、土師器甕・坏、須恵器壺、越州窯系青磁碗、磨石・敲石類、軽石製品が認められる。これらの状況は、九州南部の平安時代の遺物組成に類似するが、土師器坏の大量消費活動の欠落、軽石製品の存在など、トカラ列島の地域性も確認できる。 弥生時代~古墳時代初頭の遺物は、九州北部・中部・南部、大隅諸島の弥生土器、奄美諸島の弥生系土器、磨製石鏃、磨石・敲石類、砥石などがある。これらのように多系統に渡る弥生土器が出土した場所は、南島ではほかになく、弥生時代の交易活動の要衝という位置づけが可能となる。また、磨製石鏃の未製品や石屑、砥石を多く含むため、磨製石鏃を現地で製作していたことが判明した。 縄文時代の遺物は、奄美・沖縄の貝塚文化前2期末-前3期初頭の土器群が確認された。また、腰岳産黒曜石も確認され、九州地域との交流の証拠である貝塚文化における最も古い黒曜石出土例となった。 以上のように、貝塚文化前2期の北限がトカラ列島北部まで及ぶこと、弥生時代には交易活動の要衝となっていたこと、平安時代には概ね九州南部の状況に連動しつつも地域性が確認できることなど、重要な成果を挙げることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍によって実施先送りとなっていたトカラ列島中之島宮水流遺跡の実態をより明確にすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
トカラ列島中之島宮水流遺跡の遺物整理と図面整理、自然科学分析を実施する。
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