研究課題/領域番号 |
18H00745
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
木山 克彦 東海大学, 清水教養教育センター, 講師 (20507248)
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研究分担者 |
松下 憲一 愛知学院大学, 文学部, 教授 (60344537)
笹田 朋孝 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (90508764)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 大興安嶺 / 匈奴 / ウイグル可汗国 / 土器から見た地域間交渉 |
研究実績の概要 |
本研究では、大興安嶺北部両麓地域における集団の統合、瓦解、再編の過程と周辺国家からの影響について、主に考古資料と史料の検討から、実証的に跡付けることを目的とする。具体的には、匈奴、鮮卑、柔然、突厥、ウイグルがモンゴル高原で覇を称えていた時期を対象に、1)大興安嶺北部両麓の土器資料を中心とした考古学的諸文化の再検討、2)また特に資料が乏しいモンゴル東部地域では、発掘調査を実施し、資料増加を図り、当地域の様相を明確化する。以上の検討から、各時期・通時的な地域間関係を明らかとする。加えて3)匈奴から唐代における当地域に関する史料の分析を実施し、考古学的様相と比較検討を行い、当地域の総合的な歴史展開の復元を目指すものである。 2019年度は、上記1)については、中国ハイラル地区に赴き、実資料分析を行う予定であったが、新型コロナウイルスの拡大に伴い、現地調査が出来なくなった為、関連する発掘報告書等から、大興安嶺西麓の鮮卑から室韋の諸文化整理を行った。2)では、オルズ川流域の踏査、ズーン・ウリーン・アダグ遺跡、シャルツ・オール1遺跡の発掘調査を実施した。ズーン・ウリーン・アダグ遺跡では昨年度の予想通り、製鉄址に近接した円形の作業場ないし住居を確認した。製鉄炉については、典型的な匈奴のものであり、匈奴の東端まで及んでいたことを示す大きな成果であった。シャルツ・オール1遺跡の調査では、中央基壇の構造を解明した。また城壁との位置関係も把握した。東正面をする構造であり、中原の技術を移入するものの、草原的嗜好も取り入れていることが判明した。年代的にウイグル可汗国の前半と考えられ、同国の北東境界に設置された地方官衙と想定できた。以上の結果を受け、3)の検討を行い、総合的な位置づけを検討中である。 これらの研究成果の一部は既に報告している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年末からの新型コロナウイルスの世界的流行により、予定していた中国ハイラル地区での資料調査が実施出来なかったことは、大きな問題であるが、それ以外の調査は予定通りであり、その成果も大きかった。
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今後の研究の推進方策 |
基本的に、研究計画に沿って研究を実施していく。しかし、本研究は、海外の遺跡、資料収蔵機関に赴いて現地調査することに主眼を置いたものである。今後の新型コロナウイルスの世界的流行が、どの程度の影響を及ぼすかによるが、現地での資料分析については、刊行物と現地研究協力者からの情報で出来る限り補いたい。現地発掘調査、踏査等については、渡航出来なければ如何ともしがたいが、現地研究協力者と密に連絡を取り合いながら、対応策を練り、渡航できる時期が来れば、速やかに現地での調査を再開できる準備をしておく。
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