研究課題/領域番号 |
18H00748
|
研究機関 | 北海道博物館 |
研究代表者 |
右代 啓視 北海道博物館, 研究部, 学芸員 (30213416)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 北方文化 / 先史文化 / 江戸・明治・大正 / アイヌ文化 / オホーツク文化 / 擦文文化 / 続縄文文化 / 縄文文化 |
研究実績の概要 |
2020年度の研究実績概要は、新型コロナウィルスの感染拡大の状況や、その対応などを充分に考慮し実施した。 国内調査は、新型コロナウィルスの影響で北海道内にとどまり、北方四島、本州での調査は実施できなかった。北海道内調査では、羅臼町郷土資料館所蔵の「福井友三郎コレクション」260点の写真、資料のデータ化、「村田吾一コレクション」531点の一部データ化、釧路市立博物館所蔵の「北方四島関係コレクション」の一部のデータ化を進めた。しかし、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、充分な調査時間がとれず継続課題となっている。また、元島民の方々の聞き取り調査については、新型コロナウィルスの影響のため、実施できなかった。 研究成果の公開は、公開講座「北方四島の歴史・文化を探る-国後・色丹・択捉の調査より-」と題し、羅臼町教育委員会、羅臼町郷土資料館の協力を得、新型コロナウィルスの対応を行い、参加者限定20名として2021年2月21日に開催した。 また、内閣官房領土主権室が主管する領土・主権展示館の特別展「知られざる北方四島―歴史・文化・自然―」(2021年3月16日~5月9日)では、展示構成、資料選定などの指導、助言を行うとともに本研究成果の一部を公開した。 新型コロナウィルスの影響のため実施できなかったフィールド調査、本州調査、シンポジウムなどは、2021年度に繰越して、国内調査を中心に実施した。研究成果まとめのシンポジウムは、コロナウィルス感染拡大を考慮し、非公開で研究協力者5名、元島民(2・3世)4名と根室市(場所:北方四島交流センター)で、令和4年2月20日(日)に「北方四島の歴史文化をつなぐ史跡・遺跡の評価」をテーマに研究会を開催し、北方四島の収集資「福井友三郎コレクション」と「北構保男コレクション」の評価をまとめ、北方四島と関連する史跡などについて議論した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2018・2019年度は計画どおり概ね進めてきたが、2020年度は予期せせぬ新型コロナウィルス拡大の影響で、計画どおり進められず遅れることとなった。 2020年度の研究計画の進捗状況は、先の研究実績概要で示したものは進めたものの、新型コロナウィルスの影響でフィールド調査、公開シンポジウム、国内・本州調査などを中止せざるおえない状況下におかれた。特に、北方四島のフィールド調査は、日露間の北方四島代表者間協議において、新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐため、段階ごとに判断することとなり、最終的に「北方四島ビザなし交流」が中止となり、研究代表者と研究協力者をメンバーとする本研究を進める「歴史・文化専門家交流」も同様の中止となった。 特に海外調査は、入国先が新型コロナウィルス感染拡大防止のため厳しい渡航条件の対策がとられ、受入先の研究機関においても実施不可能となった。研究成果の公開である公開型のシンポジウムは、新型コロナウィルスの感染拡大が懸念され、協力機関や協力者においても実施不可能と判断した。 実施不可能となった調査研究などは、2021年度に繰越して国内調査、研究会などを実施した。新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から充分なものとはならなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
2018・2019年度の研究計画の推進方策は北方四島での長期滞在、調査地域の自由化の実現が、大きな課題であるが、北方四島のフィールド調査については、外務省欧州ロシア課、内閣府北方対策本部と連携をはかり、ビザなし交流の専門家として可能な限り現地調査を実施してきた。しかしながら、新型コロナウィルスの影響で、2020・2021年度は北方四島でのフィールド調査は実施不可能となり、継続して日露間の外交ルートをつうじ協議、調整がはかられていたが、ロシアとウクライナの戦争にともないロシアへの経済制裁など、ロシア外務省側から北方四島ビザなし交流中止の通告が示され、外務省欧州ロシア課が交渉を進めているが北方四島交流実施の明るい見通しが立っていないのが現状である。 この現状を受け、内閣府方対策本部、外務省欧州ロシア課はロシア側と北方四島調査日程の調整を計っているが、ロシア側の規制する新型コロナウィルス対応、ロシアとウクライナの戦争の影響が大きく、難航し現地調査実施に向けた協議を進めている。このことから可能な実施方策、方法を外務省欧州ロシア課、内閣府北方領土対策本部、関連機関などと協議、連携し、実施可能な最善の方策、方法を検討し実施する方向で進めている。
|