研究課題
基盤研究(B)
海底遺跡で発見された大型木製文化財、特に沈船の保存処理を念頭に置き、次の2つを目的として研究を進めた。①太陽熱集熱加熱循環装置を製作し、海底遺跡出土大型木製品の保存処理を実施する。②トレハロースによる海底遺跡出土木製品の鉄部錆化抑止のメカニズムを解明する。具体的には、太陽熱集熱加熱循環装置を設計、製作、使用して実用に耐えることを確認した。鉄部錆化抑止の研究については、鉄の錆化の必要要件である電気的な挙動をトレハロースが阻害していることに着目し、実証的・科学的研究によって明らかにした。
文化財科学
我が国においては海底遺跡出土大型木製品の保存処理は継続的に実施されておらず、現在は止まった状況にある。今回の太陽熱集熱加熱循環装置とトレハロースによる鉄部錆化抑止メカニズムに関する研究で得られた成果や様々なデータの蓄積によって、元寇沈船の引き上げと保存処理に着手できる段階に到達したと言える。