研究課題/領域番号 |
18H00778
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
宮本 律子 秋田大学, 国際資源学研究科, 教授 (30200215)
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研究分担者 |
森 壮也 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 主任調査研究員 (20450463)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ろうコミュニティ / 手話 / 東アフリカ / 言語動態 / 祖型 |
研究実績の概要 |
本研究は,東アフリカ(ケニア,ウガンダ,タンザニア)をフィールドに,同地域内のろう者コミュニティにおける手話言語の接触現象に注目する。そして,東アフリカ手話に共通する祖語手話と呼べるような祖型があるのかを探り,それにより,ろう者たちの教育や経済活動などの移動および接触というコミュニティのダイナミズムを通時的および共時的に明らかにしていくことである。本年度は、(1) ケニア・ウガンダ・タンザニア手話の個別言語学的記述(2) どの程度,東アフリカ地域の手話が相互に似ており,また異なっているのかの比較研究(対照言語学的記述)の活動を実施した。具体的には、ウガンダ手話とタンザニア手話の調査研究に注力し,文献による先行研究の収集と分析と各言語のデータ収集を行った。研究者別の研究実績は以下の通りである: 宮本(代表) タンザニア手話のデータ収集の準備のための言語学調査のワークショップを2日間開催し、調査助手となる7名(ろう者4名、CODA3名)が参加した。その後、IringaにおけるDeaf Awareness Weekにおいて、この助手らとともに全国から集まるろう者の手話データを収集した。ここでの観察結果を2020年の学会で発表する予定である。 森(分担者) ウガンダ手話の収集のため、3日間の手話言語学導入ワークショップを実施し、その際にウガンダ手話にはアメリカ手話にもケニア手話にもない特徴的な動詞があることを観察した。この観察結果を2020年の学会で発表する予定である。 今年度の成果をまとめると、(1) ウガンダ手話には、ケニア手話やアメリカ手話には見られない動詞の用法があること、(2) タンザニア手話については変種はろう学校の設置場所によって数種類あるようであるが、pidgin的段階かcreole的な段階かもう少し精査する必要があること、以上がわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウガンダ手話、タンザニア手話のいずれの調査に関しても、調査許可証を入手するために予想以上の時間と労力がかかったが、実際の言語調査は予定通りに実施することができ、次年度のアフリカ学会で成果を発表する予定となった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの2年間で、個別言語の記述は進みつつある。3年目の今年度は、言語データの収集と同時に、ろう者の移動に関する聞き取り調査も実施する。ケニア、ウガンダとタンザニア間のろう者の移動がどのようなものであったのか、東アフリカ全体のろうコミュニティの歴史的な動態を聞き取り調査で調査する予定である。
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