本研究は、アンデス文明形成初期の社会統合と社会複雑化に重要な役割を果たした神殿における資源利用という視点から社会変容のプロセスを解明することを目的とした。このため、ペルー北部山地のクントゥル・ワシ遺跡で発掘調査をおこない、出土した物質資料の考古学的分析と自然科学的手法による分析を行った。 この研究によって、クントゥル・ワシでは、形成期中期から遠隔地資源を含む物資の交流があり、形成期後期になると動物資源を含むさらに多様な資源を活用した神殿活動があったことが確認された。また、神殿の建造物が集中する区域の周辺に位置する下方テラスにおける祭祀活動を支える資源利用の様態と変化が明らかとなった。
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