研究課題
本研究は、文化人類学(人類学と略)を取り巻く外部と人類学との関係をメタレベルで考察しつつ、将来の人類学のあり方の可変性と可能性を示すことを目的とする。とりわけ本研究では医学教育との関係でその目的を追究する。本研究は、日本の人類学の外部で生起している喫緊の課題(2017年3月に改訂された「医学教育モデル・コア・カリキュラム」に見られるような外部からの人類学への要請)を題材として、実践的かつメタ人類学的な検討を実施し、人類学の可変性・可能性を検討する。すなわち、医学教育にいかに人類学的な素養を導入するか、という課題をめぐる分野横断的な協働を実施しながら、それをメタレベルで考察する。「(医療者に学んでもらうべき)人類学という知のエッセンシャル・ミニマムとは何か」、ひいては「人類学という知の、何が社会から要請され(う)るのか、それに応じて人類学をどう(再)定義していくのか」というリサーチクエスチョンを学術的に(歴史的な視野の中で、また、医療に限らない 比較の視野の中で)追究するものである。具体的な計画は、①医学教育の個別の特徴を調査し、②医学教育者・医師との協働実践(症例検討会をはじめとする医学生向け人類学教育プログラムの開発)を推し進めつつ、③医学教育との関係において、人類学という学の将来のあり方を検討する。さらに④人類学専攻者向けでない人類学教育のあり方を検討しながら上記リサーチクエスチョンを追究する、というものであった。研究期間の前半では、主として①②を実践的に調査・検討し、後半では主として③④の検討を進めた。事例を通じた医師・医学生のための人類学・社会学の教科書も作成したことから、それを元とした複数の大学の医学教育者・医師との更なる協働も始まっている。なお、本研究を展開させた22H00770、22K10467などの科研費研究も開始されていることを付言する。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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