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2020 年度 実績報告書

メタ憲法学の基盤構築:憲法の基礎理論とその哲学的再構想

研究課題

研究課題/領域番号 18H00791
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

大屋 雄裕  慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (00292813)

研究分担者 谷口 功一  東京都立大学, 法学政治学研究科, 教授 (00404947)
米村 幸太郎  横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (00585185)
宍戸 常寿  東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (20292815)
安藤 馨  神戸大学, 法学研究科, 教授 (20431885)
井上 武史  関西学院大学, 司法研究科, 教授 (40432405)
片桐 直人  大阪大学, 高等司法研究科, 准教授 (40452312)
横濱 竜也  静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (90552266)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードメタ憲法学 / ナショナリズム / 宗教 / 統治機構論
研究実績の概要

3年目にあたる2020年度には、全体研究会を3回開催するのに加え、国際学会(国際憲法学会世界大会を想定)に1名を派遣し、研究成果の共有と議論を進める予定であったが、COVID-19問題により各大学で長距離の出張が禁じられ、会場使用も許可されず、国際学会の開催自体が断念・延期に追い込まれていったなどの事情により、当初予定通りの実施はほぼ不可能となった。
このため、オンラインで研究会合を適宜開催しつつ、関連する憲法学者・法哲学者によって個々の研究テーマごとに構成される基本的なユニットによって個別の共同研究を進めるという対応に努めた。実施時期についても感染状況の影響を受けかなりの程度延期せざるを得ず、予算執行も相当分が2021年度にずれ込む結果になったが、2020年度分として3回のオンライン研究会を開催し、問題意識や検討成果の共有を行なうことができた。
偶発的な事情ではあったが、COVID-19によるパンデミックの発生に対応するため各国が出入国管理を強化した結果、自国民と外国人の待遇のあいだにある厳然とした差異が可視化されたことは、本研究のテーマの一つであるネイションの存在や、国家による国民の身体へのコントロール(およびその基礎としての古典的な国籍唯一の原則)といった問題がアクチュアルな意義を持っていること、ある意味では近時進行していたグローバライゼーションらそれらの基層を忘却した上に成り立っていたものに過ぎないことを浮き彫りにしたと言える。このような観点から、憲法秩序の基礎にある人間存在の物理的側面やそこに加えられる暴力への問題意識、逆にそれに単純には沿わない意味を持つ宗教などへの視線を加味することにより、さらに研究を進展させていきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究計画の全体的なフレームワークを策定し、メンバー全員で一定の問題意識を共有しつつ、可能なものから全体での検討を進めるというプロジェクト推進の基本方針は維持されている。また、共有された問題意識を反映した各メンバー個別の研究成果も発表されており、成果の社会的還元も進みつつある。
その一方、COVID-19問題のなかで対面形式での研究会を開催することはほぼ不可能であり、各大学における教育研究機能の維持に各研究者が相当の労力を割かざるを得なかったことも含め、プロジェクト全体の成果としての論文作成が十分に進んでいるかには一定の問題が指摘され得る。このため、上記の評価が適当と考える。

今後の研究の推進方策

全体的な研究フレームワークの範囲内で、個別テーマに関する憲法学者・法哲学者の共同研究を進めつつ、全体に成果が共有可能な段階に達したものから順次プロジェクト全体での検討に入るという手法を継続的に展開する。COVID-19問題による出張・会合の制限が当初の予想以上に長期化していることから、オンラインを活用して研究会開催・研究成果の相互検討を積極的に進めることを予定している。成果発表の手段として国際学会への参加と報告を予定していたが、現在の状況で大規模な学会の開催・国際的な渡航がいずれも極めて困難になっているため、オンライン開催される国際学会や国内の関係学会への参加により代替することを検討したい。
研究の内容的には、パンデミックへの対応として緊急かつ弥縫的に導入されてしまったさまざまな施策(外出や外食を抑制することへの「要請」がその典型的なものであろうが)の適切性や、憲法上の人権保障などとの関係で想定される限界範囲、逆に現在の法制度がパンデミックのような事態への備えを完全に欠いているという判断から主張される緊急事態法制の必要性といった論点が浮上していることから、一方では時宜に応じてそれらの論点に関連する事実・制度的対応に関する情報収集に努め、他方ではそれらに対して十分な分析を提供し得るような理論的観点の構築に努めたい。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] パンデミックと超監視社会の可能性2021

    • 著者名/発表者名
      大屋雄裕
    • 雑誌名

      国際問題

      巻: 698 ページ: 23-31

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 離婚した父母と子どもとの法的関係2021

    • 著者名/発表者名
      井上武史
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 93-1 ページ: 98-104

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 宗教調和と人権2021

    • 著者名/発表者名
      横濱竜也
    • 雑誌名

      国際人流

      巻: 404 ページ: 16-19

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「団地国家」と多人種統合2021

    • 著者名/発表者名
      横濱竜也
    • 雑誌名

      国際人流

      巻: 405 ページ: 142-146

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Surveillance Society2020

    • 著者名/発表者名
      Takehiro OHYA
    • 雑誌名

      Encyclopedia of the Philosophy of Law and Social Philosophy

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1007/978-94-007-6730-0_137-2

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「成熟した市民社会」とその敵2020

    • 著者名/発表者名
      大屋雄裕
    • 雑誌名

      法学セミナー

      巻: 785 ページ: 31-37

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 赦しと忘却2020

    • 著者名/発表者名
      大屋雄裕
    • 雑誌名

      アステイオン

      巻: 93 ページ: 110-125

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 憲法裁判所創設論のこれから2020

    • 著者名/発表者名
      井上武史
    • 雑誌名

      憲法研究

      巻: 7 ページ: 97-107

    • 査読あり
  • [学会発表] 信用・信頼・信託:責任と説明に関する概念整理2020

    • 著者名/発表者名
      大屋雄裕
    • 学会等名
      人工知能学会
    • 招待講演
  • [図書] ナッジ!?2020

    • 著者名/発表者名
      那須耕介、橋本努、大屋雄裕他
    • 総ページ数
      264
    • 出版者
      勁草書房
    • ISBN
      978-4326550845
  • [図書] AIと社会と法2020

    • 著者名/発表者名
      宍戸 常寿、大屋 雄裕、小塚 荘一郎、佐藤 一郎
    • 総ページ数
      368
    • 出版者
      有斐閣
    • ISBN
      978-4641126176
  • [図書] AIで変わる法と社会2020

    • 著者名/発表者名
      宇佐美 誠
    • 総ページ数
      174
    • 出版者
      岩波書店
    • ISBN
      978-4000223065
  • [図書] 統治のデザイン2020

    • 著者名/発表者名
      駒村圭吾、待鳥聡史、片桐直人他
    • 総ページ数
      408
    • 出版者
      弘文堂
    • ISBN
      978-4335358319

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公開日: 2022-12-28  

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