研究課題/領域番号 |
18H00810
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
松本 裕子 (小坂田裕子) 中京大学, 法学部, 教授 (90550731)
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研究分担者 |
丸山 淳子 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (00444472)
守谷 賢輔 福岡大学, 法学部, 准教授 (40509650)
深山 直子 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (90588451)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 先住民族の権利に関する国連宣言 / アイヌ / サン / マオリ / ファースト・ネーションズ / サーミ |
研究実績の概要 |
2019年度は、3回の研究会を開催した(第1回5月25日(津田塾大学)、第2回10月19日(北海道大学)、第3回2月28日(中京大学)。なお、研究会やこれまでの研究の成果として『先住民族と法』と題する書籍を最終年度に発刊することを予定している。 小坂田は、4月26日から5月3日にかけて、フィンランドとノルウェーのサーミ議会で聞き取り調査をおこない、その成果論文を平和研究第53号に公表した。また国連宣言の国内裁判所、国際的及び地域的人権機関、国連機関及び専門機関、先住民族権利運動、森林認証制度に対する影響を研究し、その成果論文を『実証の国際法学の継承(安藤仁介先生追悼)』に公表した。 丸山は、ボツワナにおいて国連宣言の前後に先住民をめぐってどのような動きがあったのかについての資料を整理した。また日本国内での先住民の位置づけについての調査も実施することによって、日本とアフリカで同時代に何が起こっていたのかを検討し、先住民の問題や権利回復運動に関するグローバルな広がりについて考察した。 深山は、国連宣言が実際に効力を発揮した事案として、ニュージーランド・オークランドのイフマータオにおける土地問題に着目した。そして、住宅地開発計画に対して遺跡保護という観点から反対運動を展開するマオリ団体に対して、国連側が国連宣言に基づいてそれを支持したことを取り上げ、その分析を進めた。 守谷は、カナダ判例法上の政府の「先住民と協議し便宜を図る義務」と国連宣言の「自由で事前の情報の提供を受けたうえでの合意(free, prior informed consent, FPIC)」に焦点を当てて、判例と学説を検討した。この成果は2020年の夏または秋に公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は予定していた通りに研究会を3回開催することができた。また、研究代表者及び研究分担者も、それぞれ概ね予定通りに研究を進めている。最終成果物として発刊を予定している『先住民族と法』についても、これまで研究会でご報告いただいた研究者の方から執筆の内諾を頂くことができた。現在のところ、2021年度後半の発刊を目指して、作業を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、国連宣言の起草過程に参加し、UN PFIIで議長を務めたDalee Sambo Dorough氏(Inuit Circumpolar Council議長)をお招きし、アイヌの方を含めた研究会の開催などを計画している。ただし、2020年度は当初よりCOVID-19のパンデミックのため各国が国境を制限したり、自粛を要請したりしている関係から、思うように計画が進まない可能性もある。その場合には、可能な限り、2021年度に実施をしたい。また2020年度も3回の研究会開催を予定しているが、前述の理由により、すべてオンライン開催になる可能性もある。
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