研究課題/領域番号 |
18H00811
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
平野 哲郎 立命館大学, 法務研究科, 教授 (00351338)
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研究分担者 |
磯部 哲 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (00337453)
松村 由美 京都大学, 医学研究科, 教授 (10362493)
米村 滋人 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (40419990)
渡辺 千原 立命館大学, 法学部, 教授 (50309085)
松宮 孝明 立命館大学, 法務研究科, 教授 (80199851)
小谷 昌子 神奈川大学, 法学部, 准教授 (80638916)
小西 知世 明治大学, 法学部, 専任准教授 (90344853)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 医療安全 / 紛争解決 / 裁判外紛争解決(ADR) / 医療事故調査 / 医療訴訟 |
研究実績の概要 |
2019年度は、NPO法人医療紛争相談センター(千葉市)を2009年4月から2019年3月までに利用した者346名(当事者および弁護士)に対する郵送によるアンケート調査を実施した(回答者62名、有効回答率17.9%、当事者46名、弁護士16名)。さらに、このうちインタビューに応じるとの回答をしてくれた者が当事者16名、弁護士5名いたため、これらの者について対面によるインタビューを実施した。弁護士については全員について実施できたが、当事者について5名まで実施したところで、コロナウイルスの感染拡大により、次年度に延期した。 これらの調査の結果、医療ADRは、「費用が訴訟に比べて安いこと」、「期間の見通しがつくこと」、「専門的な知識に優れていること」などについて高く評価されていること、他方相手方との話し合いや謝罪についてはあまり満足が得られていないことが分かった。 また2019年8月1日に立命館大学朱雀キャンパスで研究会を開催し、「院内医療事故調査の在り方-ある医療事故事例における事故調と紛争解決過程からの考察」(松村由美、渡辺千原)、「アメリカにおける医療安全に基づく医療ADR(代替的紛争解決)の新しい試み-早期の情報開示、コミュニケーション、賠償提示の効果」(平野哲郎)について議論した。院内事故調査に病院顧問弁護士が加わると、調査が防御的になり客観性に欠けるおそれがあり、患者側の納得が得られないこと、アメリカでは事故後速やかに患者・家族に対する情報提供が行われ、自発的な賠償提示を行う院内ADRが普及しつつあることが明らかになった。 なお、2020年3月11日にも「医療訴訟や医療事故調査の課題」(大下宗亮・愛媛大学)、「有害事象発生時の患者家族と病院との対話」(浦松雅史・東京医科大学)に関する研究会を予定していたが、コロナウイルス感染防止の観点から中止せざるを得なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルスの感染拡大により海外調査、インタビュー調査、研究会が行えないため。
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今後の研究の推進方策 |
医療紛争相談センターの利用者に対するアンケート結果を集計するとともに、利用者へのインタビューを実施し、結果を論文・学会報告等で公表する。 出張が可能な状況になれば、他の医療ADR(大阪、東京、愛知、仙台等)の実態調査を行う。またアメリカ、ドイツ、フランス等の諸国が、医療紛争解決と医療安全の両立についてどのような方策を採っているかについて調査を行う。 インタビューや調査についてはコロナウイルス感染状況によって、実際に現地に赴いての対面調査が困難な場合、オンラインによる調査を実施する。 研究会についてもオンライン開催を検討する。
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