研究課題
基盤研究(B)
選挙権年齢及び成年年齢の引き下げ並びに学習指導要領改訂の経緯及び効果に関する検討を行うと共に、世論調査を実施して若年層の政治的態度の構造を明らかにした。巷間若年層の保守化と呼ばれているものは相対得票率上の現象であり、実際に起きているのは若年層の政治的疎外又は野党離れであり、争点態度においてもハイ・ポリティクスにおける現実主義化と経済政策における現状肯定、そして社会政策におけるリベラル傾向の混合であることが分かった。以上の知見を踏まえ、論文・学会発表など個別の研究成果に加えて、研究組織全体の成果として川出良枝・谷口将紀編『政治学 第2版』を研究期間の最終年度に刊行した。
政治学
本研究は、理論的および比較政治学的検討に基づき世論調査を設計し、若年層の保守化と巷間理解されてきたものとは異なる見方を実証的に提示した。これらの成果は専門書や学術誌にとどまらず、一般向けの逐次刊行物や総合雑誌、新聞などでも発表され、より広い社会的還元が図られた。さらにこうした知見を参考にしながら、新学習指導要領による社会科教育を受ける若年層を念頭に置き、より円滑な高大接続に配慮した政治学入門の教科書を刊行することにより、一定の社会的貢献を果たすことができた。