研究課題/領域番号 |
18H00814
|
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
大林 一広 一橋大学, 大学院法学研究科, 准教授 (30598149)
|
研究分担者 |
LEWIS Jonathan・R 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (60282589)
窪田 悠一 新潟県立大学, 国際地域学部, 准教授 (40710075)
松村 尚子 神戸大学, 法学研究科, 特命准教授 (20778500)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 暴力 / 内戦 / 議会 / フィリピン / コロンビア / 内容分析 |
研究実績の概要 |
先行研究の調査などを基に、プロジェクトに共通するリサーチ・クエスチョンや仮説の構築を進めた。その際、特に選挙制度や議員の政策的関心、各議員の出身地域の政治、そして国際環境に注目して仮説を設定した。 また、外部からの提案などを受けて、事例を再検討し、分析対象を準民主主義国に絞ることとした。このため、先行研究の調査や各国の政治制度の分析を行い、分析対象国をフィリピンなど数か国に絞った。 同時に、フィリピンについて、ミンダナオでの民族・宗教紛争や麻薬に対する戦争、イデオロギー(共産主義)紛争など、複数の紛争が並行していることを踏まえ、これらの紛争に対する議会の対応について、先行研究の調査や仮説の構築(選挙制度、人権政策、国際社会)を開始した。更に、議事録のテキスト・データの収集と整理、分析を開始した。テキスト・データのクリーニングや分析のために必要な議会・議員についてのデータ収集には多くの時間がかかるため、まずは直近の第17期議会について、議員の発言内容の分析などを先行して進めた。 同様に、準民主主義国のコロンビアも事例として選定した。コロンビアでは、主にイデオロギーに基づく紛争が長く続いている。この内コロンビア革命軍(FARC)については、2016年に和平が成立した。他方で、民族解放軍(ENL)などによる暴力は継続している。これらの複数の紛争に対する議会の対応について、先行研究の調査や仮説の構築、議事録のテキスト・データの収集を開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リサーチ・クエスチョンの精査や仮説の設定については、概ね当初の予定通り進んでいる。ただし、外部からの提言を受けて、事例の再検討を行った。このため、いくつかの事例についてのデータ収集や分析は、当初よりも遅れている。他方、フィリピンは事例として扱うことが確定していたため、こちらにリソースを集中し、データの収集や分析を当初の予定よりも早く進めた。このため、プロジェクト全体としては、おおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
平成31年度・令和1年度は、3つの分野で研究を進める。まず、フィリピンについては、昨年度に引き続き、テキスト・データや関連する変数についてのデータ収集と整理を進める。同時に、定量的・定性的分析を進め、論文の執筆と報告を行う。更に、研究協力者による現地調査を通じて、インタビューや追加的な資料の収集を行い、分析の改善と拡大を試みる。 コロンビアについては、まず、議事録データの収集とテキスト・データ化を進める。フィリピンの事例では議事録収集を一部自動化することが可能であったが、コロンビアについては、技術的な理由から、同様の措置を取ることが困難である。このため、議事録収集には余計に時間がかかることが予想される。同時に、先行研究調査やリサーチ・クエスチョンや仮説の改善、議会・議員についての関連データの収集を進める。 更に、3つ目の事例として現在、ナイジェリアを想定している。こちらについては、一部、議事録のハード・コピーの取得が必要となっている。このため、現地調査を通じて、新たな議事録の収集やインタビューを行う。現地調査においては現地でのネットワークや経験が重要となるため、人類学者の玉井隆先生に研究分担者となって頂く。その上で、リサーチ・クエスチョンや仮説の改善、そして議事録のテキスト・データ化を進める。 昨年度同様、分析においては、紛争研究や計量分析、自動内容分析、そしてフィリピンやナイジェリアの地域研究と、専門を異にする研究分担者・協力者が協力して全ての事例の研究に取り組む。また、研究の効率的な進行を図るため、RAを積極的に活用すると共に、自動化が可能な部分については、情報社会学の専門家を中心に自動化を行う。更に、各事例についてより詳細な現地情報を得るため、現地研究者とも協力を図る。
|