研究課題/領域番号 |
18H00815
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北村 亘 大阪大学, 法学研究科, 教授 (40299061)
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研究分担者 |
曽我 謙悟 京都大学, 法学研究科, 教授 (60261947)
青木 栄一 東北大学, 教育学研究科, 教授 (50370078)
本田 哲也 金沢大学, 法学系, 講師 (40800016)
柳 至 立命館大学, 法学部, 准教授 (20647341)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 官僚意識調査 / サーヴェイ / ビューロ・シェーピング・モデル / パブリック・サーヴィス・モチヴェーション / ビューロメトリクス |
研究実績の概要 |
2019年の官僚意識調査データの納品を受けて、共同研究者全体でどのような観点から分析をするのかということを議論した。実務家が考える重要な論点を析出し、内外の研究動向を再整理して検討するところを中心に行った。 まず、対象となった財務省、総務省、経済産業省、国土交通省、厚生労働省、文部科学省の6省の官僚の認識の枠組みを規定する組織的特徴について定員や予算から明らかにした。ダンレヴィーのビューロ・シェーピング・モデルでもあまり重視されてこなかった組織分類がここでは大きな手掛かりになった。予算額は大きいが地方自治体などに財源移転してしまう総務省や文科省は「移転官庁」であり、経産省はもともと「政策助言官庁」であった。厚労省は実施部門の比率が高い「政策実施官庁」であり、意外にも財務省もそれに近い特徴をもっていることがわかった。こうした組織の特徴づけが官僚の業務や取り巻く政治的主体に対する認識を解釈する際にも重要となるだろう。 次いで、そもそも2001年の行政エリート調査から政治および行政の変化についていくつかの政治学の研究を踏まえて整理を行った。政治改革、地方分権改革、省庁再編など求心力を高める改革と遠心力を高める改革が同時に行われたことの意味を問う形が重要であるということを導出した。 最後に、海外のサーヴェイ調査を用いた研究動向を整理し、パブリック・サーヴィス・モチヴェーション研究の実証的な裏付けとなる研究の必要性を確認した。金銭的インセンティヴだけに還元できない公への貢献などや業務量に対する認識、業務の執行の仕方に対する認識などがどのようになっているのか把握することが大きな課題だとわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データの納品を受けて、コロナ禍のために全員で課題を白紙から議論して調整することがうまくいかなかったことに加えて、試論的な分析結果についても国内外の学会や研究会で発表して他の専門家や実務家から率直な意見交換を行う機会がなかなかもてなかった。ただ、それでも、新たな若手研究者の参加を受けて調査の質問文全体を使ってダイナミックな分析を行うことが決まったことから予算の繰越をしながらも全体としては順調に進んだといえる。
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今後の研究の推進方策 |
官僚の認識と行動について、そもそも政治家や国民との違いや首相官邸への権限集中の影響を明らかすることや、実施主体の選択の問題や人工知能などの新しいテクノロジー導入に関する認識を明らかにすること、そして彼らの業務負担量や組織での業務遂行のあり方、働き方などについての認識を明らかにすることが決まった。以後は、各自が質問文を使って分析を行っていくと同時に出版の準備を行うことも決まった。
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