研究課題/領域番号 |
18H00818
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 武 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (70302784)
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研究分担者 |
中井 遼 北九州市立大学, 法学部, 准教授 (10546328)
西川 賢 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (10567390)
久保 慶一 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30366976)
浅羽 祐樹 新潟県立大学, 国際地域学部, 教授 (70403912)
菊池 啓一 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 海外研究員 (80735374)
成廣 孝 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (90335571)
川村 晃一 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター東南アジアI研究グループ, 研究グループ長代理 (90450501)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | プライマリー / 選挙制度 / 政党政治 / 候補者選定 / 民主主義 / 政党組織 / ポピュリズム |
研究実績の概要 |
米欧アジアにおけるプライマリーの実証的分析を行う本研究は、地域・手法を重層的に横断した研究体制に基づいて、4カ年 計画でサーベイを含むデータ収集、量的・質的な比較分析を行う。 計画初年度に当たる2018年度は、前身となる基盤研究(B)海外調査時代の科研共同研究において収集したデータと知見の整理、当科研において新規に収集するプライマリーのデータの収集と整理、データおよび関連資料の公開、それを元にした制度的特徴の理解と政治的影響などの分析作業を行ってきた。特に、前身の共同研究と比較して、南米・旧東欧(バルト地域)の共同研究者を新たに加えて、地域的なヴァリエーションや、議院内閣制と大統領制など政治制度上のヴァリエーションとの関係に配慮した考察を行っている。 データの収集は各分担者の担当地域について行い、海外調査も実施した(伊藤・川村・久保等)、その成果は、分担者(久保)のサイトで一部が先行して公開されている。 さらに、それらを用いた予備的な分析も、イタリア・ラトビア・アメリカなどについて公開している(伊藤・中井・西川)。例えば、イタリアについては通常の国政選挙の選挙管理と比較しながらプライマリーの選挙管理の問題点に触れ、ラトビアについてはプライマリーと候補者選定の特徴について考察を加えている。 3月には、各自の成果を取りまとめ、今後の研究方針を決める研究会を代表者の所属機関で開催した。そこでは、アメリカ、ヨーロッパ、アジアの各担当地域に関して、直近に行われたプライマリーに関する制度・結果等のデータが報告され、それまでの共同研究やプライマリー研究、選挙・政党政治研究など関連研究上の位置付けを再検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述のように、本共同研究は、前身の海外調査の共同研究を引継ぎながら、量的質的分析および因果関係検証に配慮したプライマリーの比較分析を4年間で行うことを目標にしている。2018年度は初年度に当たるため、前身のデータ共同調査研究のデータの整理、本科研に関する新しいプライマリーの調査・データ収集、それらを用いた比較政治的特徴に関する予備的分析が課題であった。 年度当初は研究代表者が所属機関を異動したことや新規科研のため分担金配分が遅めだったことによって、調査実施に制約がかかり、若干立ち上げに時間を要した。しかし、その後は研究態勢の構築を進めて、共同研究を進めた。前身の共同研究時代から新規の分担者も含めて交流を進めてきたため、データの収集、海外調査などの作業は各自で共通の了解の下に行うことができた。その上で、学会その他の機会を利用しながら打合せを行って進捗管理に努めた。さらに、3月には全体の進捗管理と今後の方針協議のための全体研究会を開催して、研究の進展を図った。結果として、初年度ながら、幾つか予備的な考察となる論文や研究報告の成果を公開できている。予備的な段階である初年度としては、おおむね見込み通りの成果を確保できている。 なおラテンアメリカ担当の分担者が在外研究に出たことに伴い、形式上来年は分担者を外れるが、メールや海外学会を利用した協議などを通じて継続的関係を維持しており、3年目の2020年度には分担者として復帰することになっている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、地域・手法を重層的に横 断した研究体制に基づいて、4カ年 計画で議員サー ベイを含むデータ収集、量的・質的な比較分析を行い、引き出した仮説をサーベイ実験で検証する。データベー ス・成果は国内外の 研究者に 公開して、プライマリー関連研究の進展に貢献する企図である。進捗管理と予測できない事態へ の対応も含めて、メンバー間での研究会を実 施する。 計画2年目に当たる2019年度は、初年度に整理した海外調査のデータとそれを基にした分析をまとめて、邦語で論文集を刊行するべく、論文を執筆する。 初年度から継続した積極的な成果公表によって、研究路線の適切さを管理する。 データ収集・調査については、各自の担当地域(伊藤・イタリア/浅羽・韓国/河村・インドネシア/久保・クロアチア等/ 菊池・アルゼンチ ・ブラジル(共同研究者は外れるが、在外研究を利用して実施)/成廣・イギリス/中井・バルト等/西川・アメリカ)について引き続き調査を進める。 研究会については、6月末~7月頃および12月に開催して、研究の進捗の確認、成果の相互共有、研究成果公開に向けた作業を進める。2回目 の研究会では、各自が執筆した原稿を持ち寄り、論文集として刊行する予定である。 さらに、3年目の実験実施について、準備を進める。 全体としては、プライマリーを核としつつも、候補者選定分析、政党組織分析などデモクラシーの構造変化に繋がる分析へと研究路線を繋げていくことを目指す。
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備考 |
プライマリーに関連するデータの先行公開ページ
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