研究課題/領域番号 |
18H00820
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
網谷 龍介 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (40251433)
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研究分担者 |
戸澤 英典 東北大学, 法学研究科, 教授 (20335326)
大内 勇也 早稲田大学, 政治経済学術院, 講師(任期付) (30775416)
作内 由子 獨協大学, 法学部, 准教授 (60631413)
中田 瑞穂 明治学院大学, 国際学部, 教授 (70386506)
八十田 博人 共立女子大学, 国際学部, 教授 (70444502)
板橋 拓己 成蹊大学, 法学部, 教授 (80507153)
上原 良子 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (90310549)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 戦後ヨーロッパ / 社会変容 / 社会運動 / テクノクラシー / 人権 |
研究実績の概要 |
本年度は大別して三つの作業を行った. 第一に,1968年以降の社会運動と政治変容を検討するために,分担者間での研究動向報告を行った.具体的には,戦後ヨーロッパにおける「過去」の位置づけとそれが民主主義の革新(運動)にどのように作用するかという論点,ヨーロッパにおいて人権規範が実行されていく契機としてのギリシア軍事政権への制裁,オランダの1960年代において一方でのテクノクラシー化,他方での社会運動の拡大が,いずれも多極共存型の政党間妥協の政治に対する代替選択肢として提示されたこと,イタリアにおける1970年代と共産党の役割,などである.また,専門家(茨城大学・佐々木淳希助教)を招聘して,西ドイツにおける民主化を求める運動の一環としての労働者の企業内の共同決定をめぐる政治について,研究講演を行っていただく研究会を開催し,共同決定によって追求された「民主主義」がどのような性格を持つものであったのかについて,知見を深めることができた. 第二に,計画に基づいて,八十田,作内,板橋,大内が国外出張を行い,担当の課題に関連する資料調査を行った. 第三に,本研究グループが本課題の前提としている共同業績(『戦後民主主義の青写真――戦後ヨーロッパにおける統合とデモクラシー』ナカニシヤ出版,2019年)に関して,代表者や分担者がいくつかの異なる専門家に対してその成果を報告し,巨視的な観点から本研究課題に関しても有益なレスポンスを得ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度中途までは,研究会を定期的に実施し,各分担者担当分野の研究動向の検討や,今後の論文構想を報告するなど,おおむね予定通り推移しており,計画3年目の2020年度には本格的な論文準備作業のための調査と研究会での構想報告,予備的な学会報告を行いうる段階には達していた. ただし2019年度末から2020年度にかけて,学会報告や研究会開催を予定していたが,ヨーロッパへの渡航が難しい状況にあることや,各所属機関で役職についている参加者が多いため研究会の設定もやや困難な状況にあった.
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今後の研究の推進方策 |
本来の計画では,本年度も分担者の約半分がヨーロッパにおいて未交換史料の渉猟と文献の購入,さらに学会への参加や研究報告等を行う予定であった.しかし2019年度末に生じたパンデミックにより,現状ではそのような外国での学術調査が見通せる状況にないため,代替的な手段を検討している. 第一に,現地での未交換史料の閲覧・撮影等に変わる手段として,現地図書館による複写,マイクロフィルムの発注,あるいは日本に存在しない同時代雑誌資料の購入など,代替的な手段により,史料の調達を行う.その際に,一単位当たりの価格が高くなることや,共有できる史料集の存在が予想されるため,研究代表者が窓口となってこれを集約的に実施する. 第二は,史料収集の可能性がやや限定されたことを踏まえ,予定をやや変更して,レビューアーティクル的な,各国の研究動向のまとめを行うことを検討する.そのために報告とディスカッションを行う.これまでこの研究グループは年三回の研究会を定例として実施しており,本年度もそのペースで検討を行う.ただし,冒頭に掲げたような事情のため,国内旅費も本年度は削減し,状況改善まではオンラインによる研究会開催を行うこととする.すでに各人が一定の研究文献収集を行っているが,最新の研究については本年も各人が収集する. 第三に,これらと並行して,この研究計画に関連する報告や講演などを,各人が外部のオーディエンスに対して積極的に行い,フィードバックを得ることに務めることとする.
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