研究課題/領域番号 |
18H00821
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
今井 宏平 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター中東研究グループ, 研究員 (70727130)
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研究分担者 |
中井 遼 北九州市立大学, 法学部, 准教授 (10546328)
山本 直 北九州市立大学, 外国語学部, 准教授 (60382404)
東野 篤子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (60405488)
上谷 直克 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センターラテンアメリカ研究グループ, 研究員 (80450542)
市川 顕 東洋大学, 国際学部, 准教授 (80644864)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 民主化の後退 / 自由民主主義 / 欧州連合(EU) / 規範力 / ナショナリズム / トルコ / 東欧 |
研究実績の概要 |
本研究は「近年、欧州連合(EU)と密接に関連する諸国家において、一度向上した民主主義の質が後退に転じているのはなぜか」という問いについて、トルコ、ポーランド、ハンガリー、ラトヴィアの事例を取り上げて比較検証することを目的としている。「西洋の先進民主主義国とのリンケージが高ければ民主化は進展する」と主張したスティーヴン・レヴィツキーとルーカン・ウェイの民主化のテーゼを反証するとともに、各国間で共通する民主主義の質の後退の要因を検討する。具体的には、①EUの規範力が低下したため、②与党政党がEUの規範の浸透をブロックもしくは選定したため、③ナショナリズムの高揚により、EUの規範が国民の間で浸透しなくなったため、という3つの仮説について検証を行う。加えて、民主主義の後退の結果は権威主義なのか、それとも委任型民主主義への変容なのかという点に関しても明らかにする。 この問いを明らかにするため、2018年度は民主化およびポピュリズムに関する先行研究の整理、トルコ、ポーランド、ハンガリー、ラトヴィアの現状分析を、とりわけナショナリズムとの関係を軸に検証することを試みた。また、民主化に影響を及ぼす外部アクターとして、EUだけではなく、むしろ民主化の後退を促進する可能性があるロシアや中国に関しても検討するかどうかを話し合った。 本研究の初年度である2018年度は、英語と日本語の論文および学会発表を中心に、多くの成果を残すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述したように、2018年度は民主化、民主化の後退、ポピュリズムに関する先行研究の整理とトルコ、ポーランド、ハンガリー、ラトヴィアに関する現状分析を行い、それらに関して、いくつかの論考を執筆するとともに、全体で3回の研究会を実施し、意見交換を行った。代表者が専門とするトルコに関しては、トルコの最近5年間における民主化の軌跡とトルコの民主化の問題点を指摘した「「強い大統領」エルドアンに導かれるトルコ (特集 権威主義という罠)」(『世界』2019年4月号)でトルコと民主化の関係について論じた。 また、本研究会と同様に民主化の後退を扱った川中豪編『後退する民主主義、強化される権威主義:最良の政治制度とは何か』(ミネルヴァ書房、2018年)とレヴィツキ―・ジブラット『民主主義の死に方』を取り上げ、本研究はこれらの先行研究とどのような違いを出すかについても研究会のメンバーで検討した。その結果、本研究の特徴は、①民主化の後退に対する外部アクターの関与、②上記2冊では本格的に検討されていない東欧の事例を深堀する、③民主化だけが後退しているのではなく、自由主義も後退していることを明らかにする、④ナショナリズム、ポピュリズム、権威主義と民主化の後退の関係を明らかにする、という4点であることを確認した。2019年度以降はこれらの諸点について深堀していくこととする。
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今後の研究の推進方策 |
1年目は先行研究の整理と現状の把握、2年目は、いくつかの学会発表を行うとともに3年目の終わりに刊行を計画している共同執筆による著書の執筆を具体的な作業として行う予定である。 具体的に2019年度は、科研関係者の一部が日本比較政治学会および日本国際政治学会で民主化支援および民主化の後退のパネルにおいて研究発表を行う予定である。また、民主主義の後退よりも「自由民主主義の後退」の方が適切ではないかと考え、自由民主主義とは何だったのか、自由民主主義のどこが後退しているのかについて検討する。 また、本研究者の関係者がさまざまな国際学会に参加し、そこで最新の理論的・概念的潮流の理解、他国の研究者と意見交換し、民主化の後退に関する知見を深める。また、もし予算の都合がつけば、海外から民主化の後退について研究している若手研究者を招聘し、研究会を行うことも考えている。 いずれにせよ、今年度は①民主化の後退に対する外部アクターの関与、②上記2冊では本格的に検討されていない東欧の事例を深堀する、③民主化だけが後退しているのではなく、自由主義も後退していることを明らかにする、④ナショナリズム、ポピュリズム、権威主義と民主化の後退の関係を明らかにする、という4点について詳細に検証し、2020年度に予定している出版の準備を行う。
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