研究実績の概要 |
本年度は、コロナ禍のため海外調査ができなかったのはもとより、国内の史料館などの訪問も大きな制約を受け、新規の史料調査はほとんど行なうことができなかった。また、3年間の研究活動の総まとめ的な意味を持つ海外学会(EAJS:European Association of Japanese Studies)でのパネル企画が無事採択されたものの(Competing Narratives on Sino-Japanese Relations, 1915-1945: Local, National, and International Exchanges:奈良岡、川島が報告)、コロナ禍のため開催が2021年度に延期された。 そんな中でも、本科研費のメンバー全員が参加する形で、2020年9月7日に以下の書評研究会を開催できた。Zoomによるオンライン形式だったが、メンバー以外の研究者を含め30名の参加を得て、大変盛況であった。①森靖夫『「国家総動員」の時代―比較の視座から―』(名古屋大学出版会、2019年)書評→書評者:小林道彦氏(北九州市立大学教授)、リプライ:森靖夫。②関智英『対日協力者の政治構想:日中戦争とその前後』(名古屋大学出版会、2019年)書評→書評者:森靖夫氏(同志社大学教授)、リプライ:関智英氏(津田塾大学准教授)。 著書、論文の形での研究成果の公表も、鋭意進めた。特筆すべき成果としては以下が挙げられる。1)第一次世界大戦期の抑留問題に関する新史料の翻刻論文を、昨年度に引き続き学術雑誌に連載したこと(奈良岡、梶原)、2)本科研で本格的に調査を行った「ポール・ラインシュ文書」につき、その概要を紹介する連載を学術雑誌で開始した(奈良岡)。3)これまでの調査と実証分析を踏まえ、歴史認識に関わる論文や、一般向けの出版物を多数刊行できた(奈良岡、川島、久保田)。
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