| 研究課題/領域番号 |
18H00831
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| 研究機関 | 東京大学 |
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研究代表者 |
楡井 誠 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (60530079)
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| 研究分担者 |
青木 周平 信州大学, 学術研究院社会科学系, 准教授 (00584070)
赤池 伸一 文部科学省科学技術・学術政策研究所, その他部局等, 上席フェロー (50611612)
渡辺 努 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (90313444)
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| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 景気循環 / ベキ乗則 / ネットワーク / 異質的意思決定主体 |
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| 研究実績の概要 |
本研究では、マクロ経済理論分野において近年進展の著しい、異質性と相互作用の役割に焦点を合わせ、ベキ乗則とネットワーク理論を分析の 切り口としてマクロ経済振動・成長論に新規な貢献をなすことを目的としている。
2020年度は、研究代表者が進めている物価の内生的振動についての国際共同研究を、ミラノで開催されたEconometric Society World Congress（8月19日）において報告し、参加者から貴重なコメントを得ることができた。また、物価振動研究の包括的な内容について、シカゴ大学におけるMoney and Banking Workshop（10月28日、Department of Economics）において研究報告を行い、貴重なフィードバックを得た。さらに、研究代表者と分担者の、資産価格振動に関する国際共同研究の成果を、エコノメトリック・ソサイエティの理論機関紙であるTheoretical Economicsに掲載した。この論文についてJean-Philippe Bouchaudがパリで主宰するEconophysiX Journal Club （2月12日、CFM, Ecole Normale Superieure）において研究報告を行った。その他、COVID-19パンデミックに緊急対応した研究結果を複数公表した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論を十分に精緻化し、国際的な査読学術誌に発表した。その成果をいくつかの研究会や学会の第一人者に報告し、好意的な評価を得た。また、コンファレンス報告を数多く達成することができた。
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| 今後の研究の推進方策 |
1. 状態依存価格付けモデル(S,sモデル)を用いて、インフレーション率の水準と分散が相関する実証事実を説明する。インフレ率が定常的に高 いとき、定常価格分布は価格付け行動のinaction band上で左に歪むので、価格を上方改定する閾値の近傍に多くの企業が位置する。これが価 格改定の企業間連鎖反応を起こしやすい環境となり、インフレ率の分散を高める。昨年度までにこの論文のワーキングペーパーを完成させたの で、今年度は学術誌での採録を目指す。また、同様のモデルを用いて、日本経済において観察される、ゼロインフレ率からの金融政策による離 脱が難しいことを説明する新しい論文に、東大大学院の野村果央氏とともに取り組む。
2. 異質的マクロ経済理論の偏微分方程式体系を用いた数理的統合。家計資産分布遷移過程を偏微分方程式を用いて表現する。その解析しやすさを生かして、リスク性金融資産の取得コストの低下が総生産や賃金に長期的に及ぼす影響を、アメリカのデータにカリブレートしながら分析した論文（研究分担者 青木周平、研究協力者 山名一史と共著）を、昨年度までにワーキングペーパーとして完成させた。今年度は学術誌での採録を目指す。また、同様のモデルを用いて、デジタル技術導入による経済成長が資産格差の拡大、安全資産需要の増大、および安全金利の低 下をもたらすことを、日本銀行金融研究所所属の共同研究者たちとともに分析する。さらに、京都大学西山慎一教授と東大大学院の渋谷春樹氏 とともに、家計個別リスクのある世代重複モデルの連続時間版を数値的に解析する手法の開発を進める。
3. リクルート株式会社の大録誠広氏との共同研究により、学術論文引用数の成長と学際性に関する定量分析を始める。
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| 備考 |
楡井誠著「国民所得とその分配」、市村他編『経済学を味わう』日本評論社，2020年4月．
楡井誠著「コロナ禍の経済対策：社会的離隔・外部性・デジタル化」経済産業研究所コラム，2020年4月7日．増補版が小林・森川編『コロナ危機の経済学』日本経済新聞出版に所収．
楡井誠、齊藤有希子共著「サプライチェーンの断絶とマクロ経済：東日本大震災からの教訓」経済産業研究所コラム，2021年3月9日．
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