研究課題/領域番号 |
18H00832
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
三谷 羊平 京都大学, 農学研究科, 准教授 (70647172)
|
研究分担者 |
Munro Alistair 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (10515654)
高野 久紀 京都大学, 経済学研究科, 准教授 (40450548)
星野 匡郎 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (80726430)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | フィールド実験 / 実験経済学 / 行動経済学 / 実証ミクロ計量分析 |
研究実績の概要 |
【研究1】現実の政策参加における社会的相互作用を解明する実証ミクロ計量分析:土地所有者のインセンティブ政策への参加契約データに不完備情報離散選択モデルを用いて、自治会レベルでの社会的相互作用を推定した結果、ピアの参加行動が当該個人の行動に正の影響を与える内生効果が特定された。本事例では同調性と解釈できる無視できない社会的インセンティブが存在することが明らかになり、政策の予測や評価においても所有者間の社会的相互作用を考慮する必要があることが示された。論文は査読付国際学会で報告された。 【研究2】農山村における伝統的共同体が有する社会グルー プの経済学的特性を解明するフィールド実験:フィールド実験の準備として、現地との調整や調査を行なった。まず、現地の振興会や支所の協力のもと全ての区長を対象としたアンケート調査を実施し、社会グループとしての集落の特性の把握を行なった。さらに全住民を対象として、ゲームでの実際の選択に応じて確率的に謝金が支払われるサーベイ実験を設計し実施した。スタグハントゲームでの選択、他の住民の選択に関する信念、お金の分配に関する選択といった経済的変数と集落の特性や当該個人の集落との関わり合いといった集落および個人属性変数を取り入れた同時推定モデルを構築し、集落の特性、信念の共有、協調行動の関係を分析中である。 【研究3】社会グループをラボに誘発することを目的とするラボ実験:当該年度は、大きいグループの中に複数の小グループが存在する階層的グループが協調行動に与える影響についてラボ実験を行なった。階層的グループ構造において、ローカルグループに小さいインセンティブを与えることで、複数人スタグハントゲームにおいてグローバルグループで利得支配均衡が実現されやすくなること、閾値付き公共財ゲームでフリーライドが減少すること、などを観察した。論文は国内学会で報告された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実証ミクロ計量分析とフィールド実験に関しては、おおむね順調に進展している。ラボ実験に関しては、無限回繰り返しゲームの実施準備がやや遅れているが、経済実験プログラムo-Treeを用いた実験環境の整備や階層グループを用いた協調ゲーム実験の分析は順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
実証ミクロ計量分析に関しては、地理情報のある時系列の契約地籍データの入力がほぼ完了しており、本年度は、戦略的相互作用、社会的相互作用、および効用最大化を統合したゲームの構造推定モデルの構築と分析を進める予定である。フィールド実験に関しては、昨年度のサーベイ実験の結果をもとにフィールド実験の準備を進め、本年度中に実験を実施する予定である。ラボ実験に関しては、フィールドでのサーベイ実験の結果を無限回繰り返しゲームを用いた実験操作でラボで再現できるかについて理論モデルと実験環境の構築と予備実験を実施する予定である。
|