研究課題/領域番号 |
18H00833
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
赤尾 健一 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (30211692)
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研究分担者 |
上東 貴志 神戸大学, 計算社会科学研究センター, 教授 (30324908)
西村 和雄 神戸大学, 社会システムイノベーションセンター, 特命教授 (60145654)
石井 仁司 津田塾大学, 数学・計算機科学研究所, 研究員 (70102887)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 国際環境協定 / 微分ゲーム / 割引率 / 政策担当者 / 利得優越均衡 |
研究実績の概要 |
研究計画に従い、非対称2人微分ゲームとして国際環境交渉をモデル化し、その均衡経路を分析した。モデルは LQ モデルである。このような研究は対称モデルに関しては1980年代から行われてきたが、非対称モデルの非線形ナッシュ均衡の分析は手付かずの状態にある。 前年度の研究によって得られた Markov perfect NE(MPNE) の必要条件をもとに、引き続きその解析的特徴づけを試みた。いくつかの試行の末、安定定常解の候補を分析することにした。予想できることだが、対称ゲームの対称均衡とはかなり様相が異なることが明らかになりつつある。たとえば、十分に汚染水準(stock variable)が大きい場合、いかなる汚染排出水準(control variable)もMarkov NEの安定定常解を構成できる。一方、汚染水準が低くなると、一方の汚染排出水準が大きく、他方のそれが小さい組合せにおいてMarkov NEの安定定常解が構成される。ただしこの場合も均衡定常汚染排出水準は一意的ではない。 非対称2人微分ゲームのナッシュ均衡間の利得優越を明らかにすることが本研究の1つの課題であるが、その参照点として(非対称)協力解について研究を進めた。対称ゲームとは異なり、協力解は各playerの利得に対するウェイトの関数として表現される。ウェイトと定常解は興味深い関係があることを明らかにした。 このようなモデルを分析するための基礎的な研究として、単一主体の非凸最適制御問題(規模の経済をもつ新古典派経済成長モデル等の応用がある)についても研究を進めた。解の存在、解の一意性、定常解の存在と特徴づけについて結果を得ることができた。 割引率に関しては、現実の国際交渉をモデルの割引率に反映することを目的として、動学的設定で得られるナッシュ交渉解を動学モデルによって再現するための割引率をモデル化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に従って予定通りに研究成果をあげることができていると考えるため。特に微分ゲームに関する分析の方針が立ち、それに従って研究を進めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従って最終年度である3年目の研究を進める。
微分ゲームについては、引き続き非線形 Markov perfect NE 戦略の分析を進める。安定定常状態をもつNEの特徴づけ、特にその利得による順序付けと協力解との関係を分析する。協力解と定常状態における利得が最も近いMarkov NEや定常汚染水準が最も低い Markov NE について、それを Markov perfect NE に拡張することを試みる。
割引率に関しては、国際交渉における政府代表者の行動をモデル化し、それを割引率に関連付ける。
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