マルクス口述・エンゲルス筆記説に基づく『ドイツ・イデオロギー』テキストの再構成

2020 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 18H00834
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 窪 俊一 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (50161659)
• 研究分担者: 石井 穣 関東学院大学, 経済学部, 教授 (10587629) ; 大村 泉 東北大学, 経済学研究科, 名誉教授 (50137395) ; 渡辺 憲正 関東学院大学, 経済学部, 名誉教授 (50158648) ; 橋本 直樹 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 名誉教授 (50180831) ; 田淵 太一 同志社大学, 商学部, 教授 (50242136) ; 久保 誠二郎 東北大学, 経済学研究科, 博士研究員 (80400216)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2021-03-31
• キーワード: ドイツ・イデオロギー / マルクス／エンゲルス / 史的唯物論 / 口述筆記 / オーサーシップ

研究実績の概要

本研究は、我々の研究グループがその方法を提案し、その妥当性を証明した、『ドイツ・イデオロギー』第1章「フォイエルバッハ」草稿(以下「第1章草稿」)は、マルクスの口述をエンゲルスが筆記したとする仮説をさらに推し進め、第1章草稿成立過程を可視化することを目指すものである。
昨年度に引き続き、Marx-Engels-Jahrbuch 2003（新MEGA先行版、2004）及び新MEGA第I部門第5巻（2017）の本文テキスト及び異文一覧の即時異文、後刻異文のテキストと原草稿精細画像との照合精査を行い、両版の即時異文の補完と後刻異文表記の補正を進めた。この一連の研究成果に基づき、新MEGA先行版（2004）を抜本的に再構成し、一般の研究者が第1章草稿の口述筆記説を容易に検証でき、テキスト成立史の核をなす異文研究で、新MEGA第I部門第5巻（2017）よりも遙かに汎用性があり、テキスト成立過程を可視化するものとして、2019年に「The German Ideology - Online Edition - 」(http://online-dif.com/index.html)の暫定版を世界に向けて公開したが、今年度はこのオンライン版の精査・修正を行った。
オンライン版では、マルクスの口述をエンゲルスが筆記したとする仮説に基づき、①基底稿＋即時異文、②基底稿、③基底稿＋後刻異文の３つのレイヤーに分けてテキストを再構成している。今年度は、このオンライン版修正作業と共に、オンライン版に基づく日本語版デジタルテキストの作成及び翻訳も行い、従来の研究史の整理と批判検討を進めた。また、3年間の研究のとりまとめを行った。

現在までの達成度 (段落)

令和2年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和2年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] 黒滝正昭による『ドイツ・イデオロギー』草稿のマルクス口述・エンゲルス筆記説批判への反論 (2021)
  • 著者名/発表者名: 大村泉
  • 雑誌名: 人文社会科学論叢 巻: 30 ページ: 115-133
  • DOI: 10.20641/00000565
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] マルクス剰余価値論の形成過程 : 『哲学の貧困』（1847年），「賃労働と資本」（1849年），「1851年1月7日付エンゲルス宛書簡」および「リカード抜粋」（1851年）における (2020)
  • 著者名/発表者名: 橋本直樹
  • 雑誌名: 経済学論集 巻: 95 ページ: 27-85
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] 橋本直樹書評へのリプライ : 『ドイツ・イデオロギー』Online版(暫定版)の紹介を兼ねて (2020)
  • 著者名/発表者名: 大村泉
  • 雑誌名: 季刊経済理論 巻: 57(3) ページ: 109-112
• [学会発表] 『ドイツ・イデオロギー』の成立とエンゲルス--オンライン版編集を踏まえて-- (2020)
  • 著者名/発表者名: 大村泉
  • 学会等名: エンゲルス生誕200周年記念オンラインセミナー 「マルクス主義におけるエンゲルスの貢献」
• [備考] The German Ideology - Online Edition -
  • URL: http://online-dif.com/index.html