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2018 年度 実績報告書

論文の生産構造の実証分析:インセンティブ・研究組織・研究資金制度に焦点をあてて

研究課題

研究課題/領域番号 18H00840
研究機関千葉大学

研究代表者

長根 裕美 (齋藤裕美)  千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (60447597)

研究分担者 牧 兼充  早稲田大学, 商学学術院(経営管理研究科), 准教授 (60348852)
隅藏 康一  政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (80302793)
永野 博  政策研究大学院大学, 政策研究科, 非常勤講師 (80463967)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード論文の生産性 / 研究資金制度 / 研究組織 / インセンティブ / 研究者
研究実績の概要

本研究の目的は、科学的知識が生み出されるメカニズムを、論文の生産構造に着目し、多元的な要因を踏まえて実証的に解明するというものである。本研究は定性分析と定量分析からなる。定性分析に関わるインタビュー調査においては、長い時間をかけて調査対象者の地域、分野、などに偏りがでないよう配慮して実行することができた。この調査では、近年の競争的資金の増加や、研究職ポストをめぐる競争の激化といった研究環境を取り巻く状況が、研究者をリスク回避的にさせているのではないかなど、観察可能なデータからは明らかにしづらい、研究インセンティブに関わる問いについて明らかにすることができた。一連の調査からは研究者間で共通した傾向も見られ、いくつかの仮説を抽出することができた。当初計画通り、国内外の学会で調査結果の一部を報告することもできた。この定性調査の結果は、この30年ほどあまりに起きた科学技術政策のパラダイムシフトが研究者に何をもたらしたのかを明らかにする上で貴重な資料になるのではないかと考えている。また定量分析についても、データセットの構築をさらに進めた。当初に比べ、データセット構築を試行錯誤するうちにノウハウが蓄積され、リサーチアシスタントの作業効率もアップした。作業の過程では、各データのソース元に問い合わせてデータの構造を明らかにしたり、この手のデータセット構築時に気をつけなければならないノウハウについても蓄積されたので、テクニカルノートとして残す予定である。実証分析についても、ある分野についての研究者のデータセットはほぼ完成した。また研究者ネットワークに着目した実証分析については、国内の学会で数回報告することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

定性調査は、予定していたすべての調査対象者のインタビューを終えることができた。調査対象者の地域、分野は幅広かったが、共通した回答を見いだすことができ、確たる仮説を抽出することができたと考えている。また、当初予想していなかった仮説も見いだすことができた。調査結果の一部は、随時国内外の学会で報告することもできた。特に国内学会での報告では、本調査の結果について概ね実態に合うというコメントをいただいたり、あるいは本調査で見落とされていた点について助言をいただくこともできた。データセットの構築については、当初は試行錯誤で闇雲な人海戦術をしていたが、だんだんノウハウが蓄積され、作業効率が後半になるにつれアップし、ある分野についての研究者データセットは完成することができた。

今後の研究の推進方策

インタビュー調査については結果をまとめて論文化を進めているところである。今年の前半に論文化を終え、英訳もした後に雑誌に投稿する予定である。またこの論文で提示する仮説や提言を客観的に評価するため、日本で教育を受けて海外の研究機関に従事している研究者を訪ねてディスカッションすることも予定している。日本の研究機関や資金制度、育成制度との違いについてもディスカッションしたいと考えている。またデータセットもすべて完成し、分析を進め、論文化を行う。その過程においては、学会や研究会での報告も随時行いたいと考えている。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 産学連携:中小企業と積極的に協力する大学および連携プロジェクトの研究2019

    • 著者名/発表者名
      安田聡子・隅藏康一・長根(齋藤)裕美・富澤宏之
    • 雑誌名

      日本政策金融公庫論集

      巻: 第44号 ページ: 71-98

  • [雑誌論文] どのようにスター・サイエンティストを同定できるか?多角的視点から見た日本のスター・サイエンティストの分類と全体像2019

    • 著者名/発表者名
      長根(齋藤)裕美・福留祐太・牧兼充
    • 雑誌名

      研究技術計画

      巻: 第32巻2号 ページ: 116-128

  • [学会発表] hat did the paradigm shift in science and technology policy affect researchers? An examination based on interview survey in Japan2020

    • 著者名/発表者名
      Nagane,H.S., Nagano, H.
    • 学会等名
      2020 AAAS Annual Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] 高被引用特許の引用関係の分析2019

    • 著者名/発表者名
      長根裕美、菅井内音、隅藏康一、牧兼高
    • 学会等名
      日本知財学会年次学術研究発表会
  • [学会発表] 共同研究関係に基づく科研費の研究種目についての分析2019

    • 著者名/発表者名
      藤田正典,奥戸嵩登,隅藏康一,長根裕美
    • 学会等名
      研究・イノベーション学会年次学術大会
  • [学会発表] 高被引用文献を持つ研究者への科研費の有効性についての事例分析2019

    • 著者名/発表者名
      藤田正典,奥戸嵩登,隅藏康一,長根裕美
    • 学会等名
      研究・イノベーション学会年次学術大会
  • [学会発表] 共同研究関係に基づく科研費の学際領域の推移についての分析2019

    • 著者名/発表者名
      藤田正典,奥戸嵩登
    • 学会等名
      研究・イノベーション学会年次学術大会
  • [学会発表] 科研費の共同研究関係に基づく知識移転の系譜 ~科研費データベースからゲートキーパーを検出する~2019

    • 著者名/発表者名
      藤田正典,奥戸嵩登
    • 学会等名
      人工知能学会
  • [学会発表] どのようにスター・サイエンティストを同定できるか?多角的視点から見た日本のスター・サイエンティストの分類と全体像2019

    • 著者名/発表者名
      長根裕美
    • 学会等名
      Smips
  • [学会発表] 高等教育政策のパラダイムシフトは研究者に何をもたらしたか?:インタビュー調査に基づく考察2019

    • 著者名/発表者名
      長根裕美、永野博
    • 学会等名
      日本機械学会
  • [学会発表] How can we detect star scientists? The type of star scientists and the transition in Japan.2019

    • 著者名/発表者名
      Nagane, H.S.
    • 学会等名
      Workshop on Innovation and Entrepreneurship of Japan in San Diego
  • [学会発表] How can we detect star scientists? : The type of star scientists and the transition in Japan2019

    • 著者名/発表者名
      Nagane, H.S., Fukudome,Y. K.Maki
    • 学会等名
      XXX International Society for Professional Innovation Management (ISPIM) conference
  • [学会発表] どのようにスター・サイエンティストを同定できるか?多角的視点から見た日本のスター・サイエンティストの分類と全体像2019

    • 著者名/発表者名
      長根(齋藤)裕美・福留祐太・牧兼充
    • 学会等名
      JST-RISTEXスター・サイエンティストと日本のイノベーション第6回研究会

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公開日: 2021-01-27  

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