研究課題
本研究の目的は、「ナイト的不確実性」を加味した意志決定の理論を援用することで、検査結果に基づいた施術・施策の選択問題を解き、政策提言に結びつけることである。このとき、合理的な意志決定の要件のひとつである帰結主義(consequentialism)と動学的一貫性(dynamic consistency)の両方をいかに担保するかが特に重要となる。具体例としてがん検診と新型感染症のPCR検査を用いた。がんの罹患率や検査の感度や特異度は臨床研究の蓄積がある一方で、新型感染症に関しては未知なことが多く、十分な情報や知見の蓄積も乏しい。単に不確実性があるだけでなく、起こりうる帰結の確率分布が統計的に知られていない場合、「リスク」と比較して、「ナイト的不確実性」があるという。がんの罹患率は「リスク」である一方、感染症は、臨床研究の蓄積が途上なので、「ナイト的不確実性」である。確率分布すらわからない状況でどのように意思決定の基準を設けたら良いのか。本研究では、ギルボア=シュマイドラーのMaxmin型の期待効用関数を用いた。この基準によれば、複数の感染の確率を考慮して、そのうち最低の期待値を与える確率分布を用いて事象を評価する。帰結の確率分布を一意に特定できない状況では、意思決定が最悪ケースのシナリオに基づいて行われることをこの基準は意味する。偽陽性と偽陰性は本人とっても社会にとっても負担が大きい。偽陽性は感染していない人を隔離してしまい、偽陰性は感染している人が自由に外出して感染を広げてしまうからである。本研究では、コロナ流行期の初期のようなナイト的不確実性下で動学的一貫性を担保するは、偽陽性と偽陰性の確率の区間を当初の推定値よりも広げる必要があることを示した。特に、妥当と思われるパラメーター値の下では、偽陽性の確率の上限値を1%弱から6.6%に高めなければならないことがわかった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2024 2023 2022
すべて 雑誌論文 (20件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 15件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
Val Wass, Victor Ng編『Family Medicine in the Undergraduate Curriculum』CRC PRESS所収
巻: - ページ: 35~42
10.1201/9781003325734-6
Public Policy Review
巻: 19 ページ: 1-36
10.57520/prippr.19.1-1
巻: 19 ページ: 1-26
10.57520/prippr.19.1-2
巻: 19 ページ: 1-25
10.57520/prippr.19.1-3
巻: 19 ページ: 1-40
10.57520/prippr.19.1-4
巻: 19 ページ: 1-39
10.57520/prippr.19.1-5
Trials
巻: 24 ページ: 1-15
10.1186/s13063-023-07345-6
Fukushima Journal of Medical Science
巻: 69 ページ: 133-141
10.5387/fms.2022-35
信託研究奨励金論集
巻: 44 ページ: 31-44
Health Policy
巻: 126 ページ: 1081-1089
10.1016/j.healthpol.2022.09.005
SSM - Population Health
巻: 19 ページ: 1-9
10.1016/j.ssmph.2022.101143
巻: 68 ページ: 19-24
10.5387/fms.2021-24
Management Science
巻: 68 ページ: 4246-4260
10.1287/mnsc.2021.4097
Communications in Economics and Mathematical Sciences
巻: 1 ページ: 87-116
10.50906/cems.1.0_87
フィナンシャル・レビュー
巻: 2 ページ: 1-4
巻: 2 ページ: 5-34
巻: 2 ページ: 40-60
巻: 2 ページ: 67-87
巻: 2 ページ: 94-128
巻: 2 ページ: 133-160