研究課題/領域番号 |
18H00846
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
児玉 直美 日本大学, 経済学部, 教授 (10573470)
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研究分担者 |
乾 友彦 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (10328669)
権 赫旭 日本大学, 経済学部, 教授 (80361856)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 参入・退出 / 経済成長 / 企業ダイナミクス |
研究実績の概要 |
日本の開業率・廃業率は諸外国に比べて低く、政府の成長戦略では、現状4.5%の開業率・廃業率を10%台まで高めるという成果目標が掲げられている。一方、既存研究では、創造的な新しい企業が新技術や新製品を開発し古い製品に取って代わる「創造的破壊」が成長の原動力であることも指摘されている。経済成長を牽引するのは新しい企業か?既存研究では、創造的な新しい企業が新技術や新製品を開発し古い製品に取って代わる「創造的破壊」が成長の原動力であると指摘されている。一方、近年、新しいモデルを使ったGarcia et al. (2016)の研究では、低い開業率・廃業率が必ずしも経済成長に悪影響を与えるとは限らないと主張する。経済成長を牽引するのは新しい企業か、既存企業か?という問に対して、未だ決着はついていない。 本研究では、新設企業が経済成長にどのような役割を果たしているかについて、Garcia et al. (2016)の研究が提案する方法、つまり、経済成長の代理変数としてjob flowの大きさを利用して計算する方法に従い、日本のデータを使って実証を行っている。その結果を2019年度に経済産業研究所ディスカッション・ペーパーに取りまとめ、その後、学会での発表などを通じてブラッシュアップを図っているところである。また、中小企業が廃業/後継者による事業継続の選択メカニズムを解明するために、2018年、2019年にアンケート調査を行い、現在その分析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、経済成長を牽引するのはどのような企業かという点を明らかにするために、具体的には、以下3点の分析を進めている。①日本の低い開業率・廃業率の原因を探る、②新規に創設された企業が経済成長にどのような役割を果たしているかについて、日本のように労働流動性が低い場合にも適用できるモデルを開発し、日本のデータを使って実証を行うとともに、米国と比較しながら検証する、③企業の輸出への参入・退出、輸出金額の成長の決定要因を実証する。 ①については、2018,2019年度に、事業承継/廃業の意思決定の原因を探るためのアンケート調査を実施した。分析はほぼ終わり、とりまとめているところである。 ②については、経済センサス、事業所・企業統計調査データ等を使い、Garcia et al. (2016)の研究が提案する方法、つまり、経済成長の代理変数としてjobflowの大きさを利用して計算する方法に従い、標準的な統計手法では完全には捕捉できていない創造的破壊や新商品の品質向上を正確に価格に反映させる手法によって、実質GDP成長率を計測する。既にディスカッション・ペーパーとして公表した。 ③については、為替レートの減価は価格競争力の向上と同時に、海外からの調達コストの上昇をもたらすというプラスとマイナスの効果を同時に評価し、企業の輸出市場への参入・退出、輸出量の増加・減少に与える影響について分析を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、具体的には、以下3点の分析を進めている。①日本の低い開業率・廃業率の原因を探る、②新規に創設された企業が経済成長にどのような役割を果たしているかについて、日本のように労働流動性が低い場合にも適用できるモデルを開発し、日本のデータを使って実証を行うとともに、米国と比較しながら検証する、③企業の輸出への参入・退出、輸出金額の成長の決定要因を実証する。 ①については、2018,2019年度に実施した事業承継/廃業の意思決定の原因を探るためのアンケート調査を使った分析を行っている。2020年度中には、ディスカッション・ペーパーとして発表する予定である。 ②については、Garcia et al. (2016)の研究が提案する方法に従い、実質GDP成長率を計測する。2019年度中にディスカッション・ペーパーとして発表し、学会発表などを通じてブラッシュアップを図っているところである。 ③については、為替レートの減価は価格競争力の向上と同時に、海外からの調達コストの上昇をもたらすというプラスとマイナスの効果を同時に評価し、企業の輸出市場への参入・退出、輸出量の増加・減少に与える影響について分析を進めている。2020年度も引き続き分析を行っていく予定である。
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