研究課題/領域番号 |
18H00847
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
岡田 羊祐 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (30224033)
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研究分担者 |
林 秀弥 名古屋大学, アジア共創教育研究機構(法学), 教授 (30364037)
川濱 昇 京都大学, 法学研究科, 教授 (60204749)
松島 法明 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (80334879)
西脇 雅人 大阪大学, 経済学研究科, 准教授 (80599259)
早川 雄一郎 立教大学, 法学部, 准教授 (80737221)
佐藤 英司 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (90707233)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | デジタル経済 / 独占禁止法 / 競争政策 / 欧州競争当局 |
研究実績の概要 |
2018年度では、デジタル経済における独禁法事件の事例検討を進めた。メンバー間での事例研究の文献情報の交換を進めると同時に、2018年5月17日に、欧州競争当局からSvend Albaek (Deputy Chief Economist, European Commission)およびAriel Ezrachi (University of Oxford)を招いてワークショップを開催した。Albaek氏からは欧州におけるイノベーションの活発な事業分野における企業結合規制の動向、Ezrachi教授からは、EU競争法における支配的地位の濫用規制の動向について報告があり、Joshua Gans (University of Toronto) がコメンテーターとして参加した。活発な意見交換を行うことによって欧州におけるデジタル規制の最新動向について理解を深めることができた。また、2019年1月25日に、長崎大学の井畑陽平教授をお招きし、加盟店に対する切り替え禁止条項は連邦反トラスト法に違反しないと判示した「アメックス事件連邦最高裁判決」の研究会を開催した。クレジットカードビジネスは「両面市場」というデジタル経済に典型的な市場構造をもつという点で、デジタル経済における最先端事例の一つと位置付けられる。こうした欧州と米国におけるデジタル規制の違いを概観することによって今後の日本のデジタル規制の在り方について重要な示唆を得ることができた。 さらに、日本における審判決研究会として、多くの耳目を集めた長崎における地銀統合が公正取引委員会によって承認された事例について、伊永大輔教授(広島修道大学)を招いて、2019年3月1日に審判決研究会を開催した。多くの独禁法学者が参加し活発な意見交換を行うことによって、地方銀行における望ましい企業結合規制の在り方について理解を深めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
デジタル経済における競争当局の規制は国際的に注目を集めつつあるところであり、状況の変化も速いので、着実に事例収集を進めることが肝要である。欧米や日本で、デジタル経済の競争法の課題について最先端分野で活躍する研究者や実務家を招き研究会を定期的に開催し理解を深めることができたので、研究計画は順調に進捗していると判断できるため。
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今後の研究の推進方策 |
デジタル経済における競争政策では、イノベーションと技術変化とイノベーション政策、技術者等の労働市場の在り方、個人情報保護のルールなど、関連する政策や法域との関連について理解を深めることが必要である。本研究計画においてもできる限り関連諸法の研究者との交流を広げつつ、研究を進めていく方針である。
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