研究課題/領域番号 |
18H00852
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
宮川 努 学習院大学, 経済学部, 教授 (30272777)
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研究分担者 |
徳井 丞次 信州大学, 学術研究院社会科学系, 教授 (90192658)
川上 淳之 東洋大学, 経済学部, 准教授 (20601123)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 生産性 / 複数財 |
研究実績の概要 |
2020年度は、新型コロナウイルスの感染拡大により、当初の研究計画の変更を余儀なくされた。特に財の新陳代謝に関する共同研究をしていたプリンストン大学の清瀧氏、南カリフォルニア大学のDekle氏との打ち合わせは、オンラインに頼らざるを得ず十分な打ち合わせはできなかった。また学会での報告も制限された。このため2020年度は、中央経済社から依頼があった新型コロナの感染拡大に関する日本経済への影響について、書籍をとりまとめることを行った(『コロナショックの経済学』(宮川努編、徳井及び川上も参加)(中央経済社、2021年5月刊)。また、宮川と徳井は、日本の産業別データベース(JIPデータベース)の延長推計に参画し、それをまとめた深尾京司編『サービス産業の生産性と日本経済』(東京大学出版会、2021年)の第1章の執筆を分担した。さらに宮川は、同書第3章の「資本蓄積の低迷と無形資産の役割」も執筆している。川上は、2021年に『副業の研究ー多様性がもたらす影響と可能性』(慶応義塾大学出版会)を発表した。同書は、同年の独立行政法人労働政策研究・研修機構の労働関係図書優秀賞を受賞している。 2021年度も20年度と同様、行動制限のために研究が制約されたが、22年度になると対面での学会、研究会が増えた。宮川は、川上氏、清瀧氏、Dekle氏との財の新陳代謝に関わる論文をようやくまとめ、2022年秋に査読雑誌に投稿した。この論文は現在一度目の査読が終わり改訂中である。また宮川が乾学習院大学教授及び川崎中央大学教授と書いた"The Effect of Management Practices on the Performance of Bus Industries"は、2023年2月に査読誌International Journal of Economic Policy Studiesで公表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの感染拡大前に、ほぼデータの整備を終えていたために、新型コロナの感染拡大が始まった時点では共同研究者者間同士のコミュニケーションが十分とれるかどうかであった。新型コロナの感染拡大によってこの点はオンラインでの会議のみという制約は受け、対面での国際会議が開催されなかったことから、研究中の論文に関してコメントを受ける機会が十分ではなかった、それでも研究期間の最終段階では、本研究の最大の目標である論文については、査読雑誌に投稿ができる準備はできた。この結果2022年度に入り、海外の共同研究者が来日することで、論文の完成度は高まり、22年度中に査読雑誌に投稿することが可能となった。 また今回の研究課題に沿った代表者、分担者による研究テーマについては、海外研究者との打ち合わせといった状況も必要がなかったため、各自が粛々と研究を進めた。特に2020年度は、新型コロナの感染拡大により遠隔授業やオンライン授業の資料作成に時間はとられたものの、対面での会合はほとんどなかったために、比較的研究に時間を利用することが可能となった。 この結果、海外の研究者との共同研究については、最終的な完成が1年度ずれ込むこととなったが、個別の研究に関しては、新型コロナ関連の研究も加わり、当初想定していた以上に業績を出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染拡大により、「工業統計表」を使った中心的な共同研究は制約を受けたが、すでに述べたようにデータの整理は終了している。推計結果も出ている。問題は「企業活動基本調査」を使った共同研究だが、こちらはデータの整理はできているが、まだ推計のための理論的な裏付けが十分ではない。この点を共同研究者同士でよりコミュニケーションを強めていかなくてはならない。2021年度も以前新型コロナウイルスの感染拡大から対面でのコミュニケーションによる十分な時間を取ったミーティングは難しいが、できるだけミーティングの頻度を高めて2021年度中には、「企業活動基本調査」を使った研究が形になるよう努力したい。 一方2019年度に大阪大学で開催されたマクロ経済学のコンファレンスにおいて、資本財別の投資費用の計測に関する論文は査読雑誌に投稿中であり、2021年度中には公表できる用努力したい。 なお2020年度は新型コロナウイルスの拡大初期であり、行動制限も厳しかったことから、経済の先行きに対する関心が高かった。このため代表者の宮川が中心となって、分担者とそれ以外の研究者も含めて新型コロナウイルスの感染拡大が日本経済に及ぼす影響をまとめた。この作業は2021年5月に中央経済社から「コロナショックの経済学」として中央経済社から出版される予定である。
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備考 |
宮川努 「無形資産としての「ブランド価値」と経済効果 ~生産性、将来利益、成長力への影響~」 日本経済新聞社主催、NIKKEI event & Seminar Online https://events.nikkei.co.jp/36387/ 2021年3月16日
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