研究課題/領域番号 |
18H00853
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
阿部 正浩 中央大学, 経済学部, 教授 (70303047)
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研究分担者 |
太田 聰一 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (60262838)
勇上 和史 神戸大学, 経済学研究科, 准教授 (90457036)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 地域雇用政策 / 雇用創出・消失指標 / 雇用成長率 / 地方創生 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、地域間の相互依存関係を考慮した経済モデルを分析することにより、地域労働市場における雇用創出と消失のメカニズムを明らかにするとともに、これまで国や地方自治体が実施してきた地域雇用政策の当該地域の雇用創出と消失に与えた影響を検証することである。 本研究の1年目である本年度は、都道府県および市町村レベルの雇用成長率や雇用創出と消失指標のを推定するための基礎的データを収集した。また、各地方公共団体に対して行い、地域雇用政策の実態についての情報を収集した。 まず基礎的データについては、総務省統計局『国勢調査』、『事業所・企業統計調査』、『経済センサス』、および厚生労働省『雇用動向調査』や『職業安定業務統計』のぞれぞれから、2000年以降のデータを収集した。これらのデータから、都道府県および市町村レベルの就業者の伸び率や雇用成長率を計算した。ただし、雇用創出と消失指標については推計値が得られていない。 アンケート調査については、都道府県および市に対して、2019年2月19日から3月11日まで、実施した。調査対象団体数は合計で862団体で、うち432団体から回答を得ることができた。回収率は約50.1%であった。このアンケートでは、首長や議会が重視する政策、当該地域の労働市場の概況とその把握手段、雇用に関するビジョンや計画の策定の有無、国の雇用に関する補助金等への応募状況、企業誘致の実施状況などを訊いている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.地域労働市場の雇用創出・消失指標などの推計については、現時点で基礎的データを収集することまで終了している。 しかしながら、地域別の雇用指標作成にあたって考慮すべき自治体合併の影響を考慮する必要があり、その集計に時間が係っている。自治体の合併に関する情報を入手し、合併前後の雇用指標を作成する作業を速やかに実施したい。また、利用している統計によって、数値に齟齬が若干ある点を調整する必要もある。統計間の誤差が何によって生じているのかを検討し、速やかに統計感の調整を行いたい。 2. 地域労働市場政策の実態を把握するため、地方自治体への聞き取り調査と質問紙調査を予定していた。このうち聞き取り調査については、調査対象自治体とのスケジュールが合わないことが多く、実際に調査が出来たのが二件にとどまった。予定していた調査件数を下回っており、次年度は速やかに調査に着手したい。
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今後の研究の推進方策 |
地域労働市場の特徴を把握するため、総務省統計局「事業所・企業統計調査」や「経済センサス」,「国勢調査」および厚生労働省「雇用動向調査」の調査票情報を統計法33条に基づき利用し、厚生労働省「職業安定業務統計」の安定所別の集計データも利用し、民営事業所の新規/存続/廃業事業所別の従業者数ならびに存続事業所については雇用者数が増加した事業所(雇用創出事業所)と雇用者数が減少した事業所(雇用消失事業所)の雇用者数を、都道府県、市区町村および職業安定所管轄地域毎に産業別に推計する。この際、自治体の合併を考慮した推計を行うと同時に、統計間の誤差が何によって生じているのかを検討し、その誤差を修正した指標を作成したい。 また、地域雇用政策がどう行われてきたかを把握するために今年度行った、複数の自治体に対する聞き取り調査と、都道府県および市を対象に政策決定プロセスや政策評価の方法などについての質問紙調査について、これらの結果を整理すると共に、上記の推計した雇用指標を接続させる作業を行いたい。
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