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2021 年度 実績報告書

地域雇用政策の地域労働市場の雇用創出・消失に与える影響に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18H00853
研究機関中央大学

研究代表者

阿部 正浩  中央大学, 経済学部, 教授 (70303047)

研究分担者 太田 聰一  慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (60262838)
勇上 和史  神戸大学, 経済学研究科, 教授 (90457036)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード地域労働市場 / 地方創生 / 政策評価 / 地域雇用政策 / 雇用成長率 / 雇用創出・消失
研究実績の概要

本研究の目的は、都道府県別の雇用創出・消失指標を試算し、地域雇用政策を量的および質的に把握し、仕事を巡る求職や求人と両者のマッチングに地域間の通勤や労働移動、あるいは観察不可能な属性の相関を通じた相互依存関係があることを考慮しつつ、地域雇用政策が当該地域の雇用創出と消失にどのような影響を与えたのかを検証することである。
そこで、地域労働市場の特徴を把握するための「事業所・企業統計調査」(総務省統計局)や「経済センサス」(総務省統計局),「国勢調査」(総務省統計局)および「雇用動向調査」(厚生労働省)、「職業安定業務統計」(厚生労働省)を利用し、民営事業所の新規/存続/廃業事業所別の従業者数ならびに存続事業所については雇用者数が増加した事業所(雇用創出事業所)と雇用者数が減少した事業所(雇用消失事業所)の雇用者数を、都道府県、市区町村および職業安定所管轄地域毎に産業別に推計する作業を引き続き実施してきた。
しかしながら、コロナ禍の地域労働市場への影響も大きく、当初は予定していなかった分析を行った。この分析は、リクルートワークス研究所の「全国就業実態パネル調査」を用いて、地域間の失業率の違いを把握し、それがテレワーク普及率や仕事の性質、労働移動の地域間での差違が影響していたことを明らかにした。
また、地方自治体の雇用政策立案能力の違いも、地域の雇用創出力の違いに影響することが考えられる。そこで、18年度に実施した地方自治体アンケート調査を用いて、地方自治体の雇用政策立案能力について考察を行い、地方自治体では雇用政策を重要政策と位置づけておらず、国から地方自治体の権限委譲が進んでいないことを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2021年度もコロナ禍の影響により、十分な実地調査が出来なかった。その一方で、コロナ禍の地域労働市場への影響も大きく、当初考えていた研究計画通りに地域雇用政策だけの効果を識別することが難しくなっており、様々な試行錯誤が必要となった。具体的には、コロナ禍の影響が全国津々浦々同様であればマクロなショックと扱えるが、地域によって影響が異なるとコロナ禍の影響をコントロールする工夫が必要となる。そこで、コロナ禍の地域労働市場に与える影響が地域間で異なるかどうかを見るため、当初は予定していなかった分析を行った。この分析は、リクルートワークス研究所の「全国就業実態パネル調査」を用いて、地域間の失業率の違いを把握し、それがテレワーク普及率や仕事の性質、労働移動の地域間での差違が影響していたことを明らかにした。
以上とは別に、地方自治体の雇用政策立案能力の違いも、地方創生推進交付金など国からの補助金の雇用創出に対する効果に影響することが考えられる。そこで、18年度に実施した地方自治体アンケート調査を用いて、地方自治体の雇用政策立案能力について考察を行った。1999年に職業安定法が改正され、形式上は都道府県が独自に雇用政策を立案することになった。しかし、地方自治体では雇用政策を重要政策と位置づけておらず、国から地方自治体の権限委譲が進んでいないことが明らかになった。なお、2021年度は地方自治体アンケート調査を当初の予定通り実施しており、以上の分析結果と合わせて、今後も雇用政策立案能力に関する分析を行いたい。

今後の研究の推進方策

今年度はプロジェクトの最終年度であり、これまで整備してきたデータを用いて、地域雇用政策の効果検証を行いたい。
これまで、地域労働市場の特徴を把握するために、「事業所・企業統計調査」(総務省統計局)や「経済センサス」(総務省統計局),「国勢調査」(総務省統計局)および「雇用動向調査」(厚生労働省)、「職業安定業務統計」(厚生労働省)を利用し、民営事業所の新規/存続/廃業事業所別の従業者数ならびに存続事業所については雇用者数が増加した事業所(雇用創出事業所)と雇用者数が減少した事業所(雇用消失事業所)の雇用者数を、都道府県、市区町村および職業安定所管轄地域毎に産業別に推計する作業を実施してきた。これらを利用して、地域雇用政策の雇用創出力の効果を測定する。
さらに、地域間での雇用創出力の差違について、これまで行ったアンケート調査を用いて、地域間の雇用政策立案能力の違いがどのように影響しているかについても分析したい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 雇用政策の地方への権限委譲は何をもたらしたのか2021

    • 著者名/発表者名
      阿部正浩
    • 雑誌名

      都市問題

      巻: 112巻10号 ページ: 52-60

  • [雑誌論文] 転職による適職選択行動―初職から適職へのマッチングプロセスの実証分析2021

    • 著者名/発表者名
      赤木邦江・勇上和史
    • 雑誌名

      経済政策ジャーナル

      巻: 18巻1号 ページ: 1-16

    • DOI

      10.34471/jeps.18.1_1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 最低賃金の引き上げが労働市場に与える影響ー同一県内の経済圏域間および産業間の変動を利用した実証分析2021

    • 著者名/発表者名
      池山聖子・勇上和史
    • 雑誌名

      神戸大学大学院経済学研究科, Discussion Paper

      巻: 2113 ページ: 1-20

  • [図書] 仕事から見た「2020年」-結局、働き方は変わらなかったのか2022

    • 著者名/発表者名
      阿部正浩
    • 総ページ数
      262
    • 出版者
      慶應義塾大学出版会
    • ISBN
      978-4766428063

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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