研究課題/領域番号 |
18H00855
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
加藤 篤史 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 教授 (00286923)
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研究分担者 |
福味 敦 兵庫県立大学, 経済学部, 准教授 (20379465)
佐藤 隆広 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (60320272)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 政治経済学 / 経済発展 / 公共政策 / 政治資源 / インフラストラクチュア |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、経済発展促進的な政策を政府が決定し執行する政治・経済・社会的な条件を明らかにすることである。特に本研究プロジェクトでは、9つの個別政策(①インフラストラクチュアの整備、②反腐敗政策、③財産権の保護、④経済自由化、⑤教育政策、⑥労働政策、⑦公衆衛生政策、⑧社会福祉政策、⑨競争政策)について、統一的な分析枠組みを用いて分析を行い、インドのデータを用いて実証研究を行う計画である。 2018年度は、主にインフラストラクチュアの整備に関わる政策の分析に多くのエネルギーと時間を割いた。2018年夏にはオディッシャ州、西ベンガル州、マニプール州において、2018年冬にはナガランド州、マニプール州、アッサム州において、また2019年3月にはデリーにおいて、現地調査を実施し、電力部門の専門家(実務家、学識者など)や一般市民などに広範なヒアリングを行った。その結果、それぞれの州で電力セクターが直面する問題やそれに対する取り組みに共通点とともに多くの相違点が存在することが明らかになってきた。 現地調査の成果を踏まえ、電力セクターのパフォーマンスを決定する要因が明らかになってきたので、それらの要因の関係性について、既存研究の分析枠組みを踏まえながら、諸政策を政府が決定し執行する政治・経済・社会的な条件を分析するための政治経済学的な分析枠組みを構築しつつある。 また、これまでの研究の蓄積を踏まえながら、州レベルの電力セクターのパフォーマンスとインド各州の政治・経済・社会的な変数との関連性を見るための実証研究を行っている。これらの研究の成果は学会・研究会での発表や学術雑誌への投稿を通じて他の研究者に伝えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インフラストラクチュアの整備に関わる政策について、電力部門についての研究が進展し、論文の執筆がかなり進んでいる。また、労働政策についての研究プロジェクトが始まり、労働政策の規制緩和に関する新たな変数の構築を近々に開始する予定である。さらに、教育政策についてもインド人の研究者と新たな研究プロジェクトを開始する予定である。 政策決定・実施に関する新たな分析枠組みの構築に向けて新たな前進が見られたことが今後の研究にとって大いに有益であると期待してる。
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今後の研究の推進方策 |
インフラストラクチュアの整備に関する研究は、電力部門の研究から、交通インフラへ研究領域を拡大していく計画である。また、上記のように、労働政策や教育政策についても2019年度は研究活動を広げていく予定である。 電力セクターの実証研究は成果が挙がりつつあるので、本年度は学術雑誌への投稿や学会・研究会での発表に力を入れていきたいと考えている。
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