本研究では、バングラデシュにおいて、独自の家計調査により収集した一次データを基に、(i)社会的紐帯の強さ、(ii)女性の労働参加およびパルダの社会規範を計測し、ミクロ計量経済学的な手法を用いて(i)が(ii)に与える影響を明らかにする。また社会規範を緩めることをねらったランダム化比較試験(RCT)を実施し、その介入の効果が(i)によって変わるかどうか、背景にあるメカニズムは何かを探る。 コロナ禍により延期した最終年度の2022年度は、介入後のエンドライン調査を実施した。パネルデータ作成のため、バングラデシュの現地調査機関に同一家計の追跡、調査員のトレーニングを委託した。調査票自体は、社会的紐帯の強さや両親と未婚女性の労働参加への意識を測るものなどベースラインと同じものに加え、介入の効果を測るためのアウトカム変数を作る質問を追加した。 コロナ禍により、介入実験、エンドライン調査が遅れたため、その間に結婚して実家を離れてしまったベースライン調査時の未婚女性も散見された。彼女たちの調査は、電話によって行った。結婚して実家を離れた女性の追跡も含め、調査は滞りなく終了した。 委託調査に加えて、エンドライン調査を完了した家計および女性に対して、研究代表者と海外研究協力者が調査農村に赴き、定性的な調査も行った。具体的には、介入後に職業訓練に参加したか、しなかった場合の理由、参加した場合、その後の労働参加状況、都市部まで労働移動していない理由などを質問した。
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