研究課題/領域番号 |
18H00857
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
福西 隆弘 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センターアフリカ研究グループ, 研究グループ長 (80450526)
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研究分担者 |
町北 朋洋 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 開発研究センター 経済統合研究グループ, 研究員 (70377042)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 職業訓練 / シグナル / 労働市場 / アフリカ / COVID-19 |
研究実績の概要 |
2019年に実施した訓練校卒業生の調査対象1033サンプルに対して、2020年10-11月に電話調査を行い、930サンプルから回答を得ることができた。その後、不備を補う追加調査を実施しながら、データのクリーニングを行い、統計処理が可能なデータベースを作成している。また、前年までに収集したデータとも統合している。 今回の調査では、2020年2月時点での雇用および収入についても質問し、新型コロナウィルスのパンデミック直前の情報を得ている。その結果、一部の変数については、2019年5月、2020年2月、11月の3時点のパネルデータを構築することができた。これを用いて、パンデミック発生後の雇用と収入の変化について追加的な分析を行った。分析から以下のような発見が得られた。 1.2020年2月に雇用を有する労働者のうち、パンデミック発生後の11月時点で職を失ったのは5.5%であった。全体の86%は11月時点で雇用を有しており、雇用への影響は小さかった。 2.被雇用労働者の実質賃金は約13%減少したが、名目ベースでは平均的に賃金は維持されていた。自営業を除く企業の多くは、パンデミック発生後も雇用と名目賃金を維持していたことがうかがわれる。一方、自営業者の所得は約20%減少した。特に、製造業、運輸業、飲食業を含むその他サービス業の減少が大きかった。 3.男女間の賃金格差は拡大した。他方で、失業について男女間に差が見られなかった。 これらの結果を論文とポリシーブリーフにまとめ、論文は学術雑誌に投稿している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年5月に予定していた追跡調査は、調査地における新型コロナウイルスの影響により約半年遅れて実施した。そのため、分析作業の開始が遅れている。また、今回の調査にはパンデミックの影響が強く表れているため、分析方法およびリサーチクエスチョンについて再考が必要である。なお、本来予定していなかったパンデミックの影響について分析することができたことは、有意義であった。
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今後の研究の推進方策 |
本来の研究目的を達成するためには、労働市場がパンデミックの影響から回復した状態でのデータ収集が望ましいので、追加的な調査の実施を検討している。今年度後半以降にもう一度調査を実施する場合、一年程度の期間の延長が必要であると予想される。
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