研究課題/領域番号 |
18H00859
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
齊藤 有希子 (梅野有希子) 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (50543815)
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研究分担者 |
藤井 大輔 独立行政法人経済産業研究所, 研究グループ, 研究員(特任) (00791253)
千賀 達朗 独立行政法人経済産業研究所, 研究グループ, 研究員(特任) (80795237)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 企業間ネットワーク / 取引関係 / 企業ライフサイクル |
研究実績の概要 |
本研究は、企業のライフサイクル、すなわち企業の参入、成長、退出において、企業間の取引ネットワークがどのような役割を果たしているのか、企業単位の取引関係の長期パネルデータを構築することにより解明する。今年度は企業間の取引データの購入およびパネルデータの構築を行った。データホルダーである東京商工リサーチと綿密に議論をしてデータの項目を詰めることにより、分析に適したデータセットの購入が可能となった。また、企業間の取引データの分析の今までの経験から効率的にパネルデータを構築することが出来た。 また、このデータベースを用いて、企業規模と企業間の取引ネットワークの関係を分析した。Fujii, Saito and Senga (2017)では、企業年齢により企業の成長パターン、企業間の取引ネットワークとの関係が異なることを示したが、2018年度の成果として、Fujii and Saito (2018)では、企業間の取引関係と企業規模の関係の中でも仕入関係と販売関係では非対称性があることを示した。企業規模に対する、仕入先の数の弾性値は販売先の弾性値よりも大きく、この非対称性は規模が大きな企業で顕著であることが確認された。この非対称性のメカニズムを明らかにするため、仕入関係と販売関係を組み込んだ理論モデルを構築し、実証分析結果と整合的な関係性が導き出された。実証分析においては、企業年齢による非対称性も大きいことが確認され、取引関係の不確実性、企業の学習効果などを示唆する結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画はデータベースの構築と構築したデータを用いて、企業成長のステージによるネットワークの役割の違いを実証分析することであり、当初の予定通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の分析の方針として、①企業間の関係構築における学習効果をモデルに組み込み、実証分析で確認された性質を導くこと、②マクロ状況の違いにより企業間の取引ネットワークの役割が変わるのかについて、実証的に分析することであり、共同研究者と密に議論を重ねていく。
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