研究課題/領域番号 |
18H00877
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
平野 恭平 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (10509847)
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研究分担者 |
菅山 真次 東北学院大学, 経営学部, 教授 (00202127)
市原 博 獨協大学, 経済学部, 教授 (30168322)
橋野 知子 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (30305411)
清水 泰洋 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (80324903)
勇上 和史 神戸大学, 経済学研究科, 准教授 (90457036)
角 裕太 広島経済大学, 経済学部, 助教 (00824351)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 羊毛工業史 / 繊維産業 / 日本毛織 / 経済史 / 経営史 / 会計史 / 技術史 |
研究実績の概要 |
膨大に残されている日本毛織の企業資料を用いて明治期から高度経済成長期までの同社の企業活動を分析し,羊毛工業史の全体像とそこにみられる羊毛工業経営の特徴を明らかにするため,2018年度は,その準備として神戸大学大学院経営学研究科に寄託されているニッケ資料の整理・調査を進めると同時に,以下の役割分担に基づいて資料収集・解読・分析を行った。 創業期の日本毛織の経営活動については,橋野を中心に,会社設立前後の日記帳や創業者・川西清兵衛の記録を収集・調査した。日本毛織の生産システムの形成と進化については,平野を中心に,両大戦間期の羊毛紡織事業とレーヨン事業の生産・技術関係の記録類を収集・分析した。日本毛織の雇用システムの形成と発展については,菅山・市原・勇上を中心に,人事記録を用いてデータベースを構築するとともに,新たな資料の収集・調査を進めた。日本毛織の会計制度の確立については,清水・角を中心に,十分な整理が行われていなかった会計帳簿の整理を進め,創業期の帳簿の分析を行った。 これらの成果については,役割分担に基づいて各自で学会報告を行うとともに,2019年3月に開催した第72回紡績企業史研究会(於:日本綿業会館)では,菅山・平野・橋野・清水によって資料収集・調査・分析の中間報告を行った。また,2018年度には,日本毛織の協力により印南・岐阜・一宮の工場・事業所見学を実施するなど,より深い歴史研究を行うための関連知識を学ぶ機会を設けた。研究会や見学に合わせて,情報共有と意見交換を目的とした打ち合わせも行うことができた。 2018年度中には,新しく発見された資料もあり,その確認・整理を行うために研究期間を延長して対応した。研究報告や学術論文の作成に向けては,このような新しい資料の発見も含めて引き続き資料収集・調査を行う必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料収集・調査については,当初の計画通りに実施し,論文作成に必要な資料は集まりつつあり,研究報告を行うこともできた。しかし,日本毛織の明治期から高度経済成長期までの企業活動の実態をより明らかにするためには,さらなる資料収集・調査,膨大な資料を駆使したデータベースの構築が必要であると考える。日本毛織印南工場での資料調査や神戸大学大学院経営学研究科所蔵のニッケ資料の整理を通じて,新しい資料も発見されており,今後の研究に役立てられることが期待される。この新しく発見された資料の確認・整理を行うため,研究期間を2019 年6月まで延長して対応することになったが,これを除けば,研究は概ね順調に進展していると評価することができる。
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今後の研究の推進方策 |
日本毛織の明治期から高度経済成長期までの企業活動の実態をより明らかにするためには,さらなる資料収集・調査,膨大な資料を駆使したデータベースの構築が,次年度以降も必要であると考える。研究実績の概要で触れた役割分担に基づいて積極的な資料収集・調査を行い,新資料の発見に努めるとともに,将来的な羊毛工業以外の繊維産業との比較を念頭に置き,多様な資料の収集・調査を行うことも視野に入れる。それらの資料を利用した研究報告や学術論文の作成を目指す。
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