研究課題/領域番号 |
18H00885
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
鈴木 竜太 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (80295568)
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研究分担者 |
松本 雄一 関西学院大学, 商学部, 教授 (10336951)
北居 明 甲南大学, 経営学部, 教授 (30278551)
上野山 達哉 大阪府立大学, 経済学研究科, 准教授 (90323188)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | リーダーシップ / 組織と個人 / ポップカルチャー / 批判経営学 |
研究実績の概要 |
2019年度における研究業績について以下の2点から述べる。まず1つ目に、前年度に引き続き、資料の分析と検討を行い、サラリーマンマンガにおける分析視角を見出し、それぞれが分析をより具体的に進めることとした。それらは以下の4点である。 1. マンガ分析の経営学的研究方法 2. 日本における社会とマンガの関係性 3. 日本のマンガ産業の構造 4. サラリーマンマンガの変遷 1から2に関しては、すでに資料や文献の検討が終わり、ディスカッションペーパーレベルでの研究成果が得られている。また3に関しても2018年度以前に行われたインタビュー調査の分析が概ね終わった段階である。4に関しては、資料の分析が終わり、すでにディスカッションペーパーが公刊されている(業績としては未公刊)。1と2は、主に文化評論や社会学で行われてきたサブカルチャーの研究を踏まえ、マンガを経営学的な研究のデータとして用いる際の問題点や可能性について検討したものである。3はその背景にある日本の雑誌とコミックスの構造、また近年のネット配信による産業構造の変化について論じている。4は、戦後のサラリーマンマンガのレビューとともに、キャリアにおける成功と会社や仕事の考え方についての変遷を分析している。2つ目に、本研究が背景とする組織行動論や経営組織論についての日本人を対象とした研究である。2019年度は、組織行動論全般に関する書籍とキャリアに関する論文、実践的共同体に関する論文の3点について、近年の研究動向の検討とフィールドワークを踏まえ、書籍ならびに論文を公刊し、海外での発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は、当初に予定していた1. マンガ分析の経営学的研究方法、2. 日本における社会とマンガの関係性、3. 日本のマンガ産業の構造、4. サラリーマンマンガの変遷において、それぞれの研究が進んだと考えている。残念ながら、論文としての成果報告までは至らなかったが、いくつかの論考に関してはディスカッションペーパーの形での業績がなされている。ただ、まだペーパーとして完成していないものもあるため、この点については引き続き、成果として完成させる必要がある。また、組織行動や経営組織論に関する論文もいくつかなされ、概ね当初の予定通りと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の研究実施計画として次の点を計画している。1つ目は、前年度に論文として完成していなかった研究課題について完成させることである。具体的には、「日本における社会とマンガの関係性」と「日本のマンガ産業の構造」についての論考である。 2つ目に、次の課題として、以下の分析を考えている。1つは、サラリーマンを対象読者としている漫画雑誌の分析である。漫画雑誌はそれぞれ対象読者を絞って刊行がされている。これまではサラリーマンが登場するサラリーマンマンガを研究対象としていたが、サラリーマンを対象とする漫画雑誌でどのようなマンガが掲載されてきたのかを分析することで日本のサラリーマンの働き方の変遷を考える。また、前年度の研究から女性誌においても1990年代後半から仕事漫画、サラリーマンマンガが掲載されてきたことがわかってきた。この点にも着目して、女性を対象としたサラリーマンマンガの分析も進める。これらについては資料の収集・渉猟から始めていく。 これら2つの計画に加えて、既存の組織行動論における組織と個人の関係あるいは職場に関わる研究についても既存研究の検討を行う。
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