研究課題/領域番号 |
18H00886
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
高橋 勅徳 東京都立大学, 経営学研究科, 准教授 (70352482)
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研究分担者 |
木村 隆之 九州産業大学, 商学部, 准教授 (30756862)
曽根 秀一 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 准教授 (70634575)
石黒 督朗 東京経済大学, 経営学部, 講師 (90736448)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | イノベーション・マネジメント / ソーシャル・イノベーション / 新規事業開発 / まちづくり / 産学連携 |
研究実績の概要 |
2020年度の研究実施計画は、①これまでの理論的・経験的研究に基づいた学会報告および論文投稿の実施、②これまでの研究蓄積から見いだされた理論的課題に基づいた経験的研究の継続および新たな調査先の開拓である。 新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け海外での学会報告が中止を余儀なくされたものの、研究代表者である高橋は『経済経営研究』に査読付き論文「新興市場でのオートエスノグラフィー:婚活市場において商品化される私」、『経営哲学』に学術論文「ソーシャル・イノベーションにおける第2のダイナミズムへの注目 : 地域経営における民間企業の新たな役割 」が掲載され、経営哲学学会で学会報告を行った。研究分担者については、曽根が『ファミリービジネス学会誌』に査読付き論文「Competitive Strategy of Suzuyo in Japan:A Long-standing Logistic Firm from a Viewpoint of Innovation, Business System and Socio-Emotional Wealth」を掲載し、組織学会で研究報告を行った。更に木村は『経営哲学』に学術論文「ソーシャル・イノベーションの実現において固定化された地方自治体の役割に関する考察 」を掲載し、石黒は東京都立大学大学院経営学研究科に「倫理的実践としてのソーシャル・イノベーション」を提出し博士号が授与された。 ②については①と同様に新型コロナウィルスの影響を受けたものの、高橋が高橋はヤマト運輸における組織改善運動の事例、曽根が静岡県におけるお茶・養鰻業の地場産業に関する事例の調査を実施するとともに、木村が九州産業大学にオープンイノベーションセンターを設立し、この施設を起点に大分県における外国人技能実習制度のを利用したまちづくりのアクションリサーチを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の進捗状況について、昨年度は新型コロナウイルスの影響で、年度当初に申し込みが受理され準備段階に入っていた海外での学会報告が中止され、国内経験的調査の継続も延期を余儀なくされるというアクシデントがあった。このような困難な状況でありながら、研究組織全体で『経済経営研究』および『ファミリービジネス学会誌』に査読付き論文が2本、『経営哲学』に学術論文が2本掲載され、国内での学会報告も2本、論文博士を取得した学位論文の一本の研究実績を生み出してきた。 また、新型コロナウイルスの感染拡大の状況を論文執筆の機会とみなし、高橋は単著で”Creating Ecotourism space by Social Entrepreneurs: Case of Establishment of MPAs in Zamami Village, Okinawa Prefecture in Japan”をAsia-Pacific Journal of Innovation in Hospitality and Tourismに 石黒と共著で"Pricing activities by a social entrepreneur: A Case study of the unique housekeeping service model of Goyo-kiki Co., Ltd., Japan"をSocial Enterprise Journalに投稿しただけでなく、過去の経験的調査に基づいた英語論文の執筆を進めて、2本の論文を海外学術誌に投稿する準備を行うだけでなく、研究書籍の原稿を入稿した。 以上のことから、年度当初に予定していた計画どおりには進まなかったものの、それ以上の研究成果を得たことを鑑み、本年度の進捗状況は「(2)おおむね順調に進展している」に該当すると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は本研究課題の最終年度となる。そのため研究の推進方策は、過去に実施してきた研究蓄積をもとにした、研究発表および論文投稿、書籍出版が主となる。 具体的には、2020年度中に準備した英語論文を、研究代表者である高橋の単著、高橋・木村の共著、高橋・石黒の共著で、Journal of Business Insight、Journal of Social Entrepreneurship、Qualitative Research Journalなどの海外学術誌へ順次投稿し、曽根が国際会議で研究報告する予定である。 更に高橋が2020年度末に書籍『婚活戦略』の原稿を中央経済社に入稿、曽根がSpringer社より洋書〝Information Transmission and Distribution Systems″に入稿しており、2021年度中に発刊される予定である。 経験的調査については新型コロナウイルス拡大の状況を鑑みて、研究報告や論文投稿の可能性の高いものに絞り込んで行う予定である。具体的には、高橋によるヤマト運輸株式会の組織改善運動、木村による大分県における外国人技能実習制度のを利用したまちづくりのアクション・リサーチ、曽根による静岡県の伝統地場産業、石黒によるジビエビジネスの4件を中心に調査を行い、国内の学会での研究報告、学術誌もしくは学内紀要への投稿を行う。 更に、本研究課題は最終研究年度にあたるため、研究代表者と研究分担者が一堂に会する研究会をおこない、これまでの研究成果の総括および、今後の発展可能性と社会への実装可能性を想定した研究会を実施する。 もちろん、新型コロナウイルス感染拡大がどのような形・時期で進行・収束するのか未知数であるため、状況を鑑みて感染防止に努めて、zoomなどを利用したオンラインでの調査、学会報告、研究会の開催を柔軟に行っていく。
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