本プロジェクトは、当初2018年度から2021年度の4年間に渡って実施し、2022年3月に完了予定であった。しかし、コロナ禍等もあり計画の進捗に遅れが出たため、2022年の年末までプロジェクト実施期間を延長した。 最終年の2022年は、データ収集作業の最終フェーズとして、アンケート調査を実施した。日本企業に勤務する従業員で海外赴任経験がある者を対象とした。アンケートの設計にあたっては、前の年度までに行ってきた先行研究レビューやインタビュー調査の知見を反映できた。アンケート調査の目的は、回答者の性格、属性、経験、異文化対応能力、赴任中の公私におけるネットワークの有無、赴任時や帰任時の所属企業からのサポートの有無、といった事柄が、どの程度回答者のアイデンティティの多様性に関与するのかを明らかにすることである。さらに、回答者がどの程度赴任時に得た知識やノウハウを帰任後の仕事に役立てられているかや、帰任後の離職意図などについても計測し、回答者のアイデンティティがこういった事柄にどのような作用を及ぼすのかについても分析を行う予定である。また、調査の厳密性を担保する目的で、すべてのデータを一度の調査で集めてしまうのではなく、合計4回にわたって収集するタイムラグ方式という調査方式を採用した。 収集したデータの分析結果の一部は、2023年9月に東京で行われるJoint Congress of the International Comission on Occupational Health - Work Organization and Psychosocial Factors & Asia Pacific Academy for Psychosocial Factors at Work (ICOH-WOPS & APA-PFAW) 2023 Conferenceにて報告予定である。
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