研究課題/領域番号 |
18H00903
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
倉田 久 筑波大学, システム情報系, 准教授 (20508428)
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研究分担者 |
上市 秀雄 筑波大学, システム情報系, 准教授 (20334534)
岡田 幸彦 筑波大学, システム情報系, 准教授 (80432053)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | サービス / 製販連携 / 情報の価値 / モデル分析 / 過剰サービス / 小売業 / ICT |
研究実績の概要 |
平成30年度は3年間の研究プロジェクトの初年度であり、主として研究分析の基盤となる基本数理モデルの構築に注力した。 顧客が認知するサービス品質と企業のサービス提供の諸情報を学術研究、及び実務の両視点から収集した。具体的には、日本経営工学会(JIMA)2019年秋季大会(東海大学)、JIMA2019春季大会(福岡工業大学)、INFORMS International 2018大会(台北市)、DSI2018大会(米国シカゴ市)、APIEMS2018大会(香港市)に参加し、最新のサービス研究の動向を確認すると同時に、様々な分野の研究者や実務家と意見交換を行った。また、研究代表者が幹事を務める日本経営工学会サービス研究部門主催の講演会では、医療サービス、無人店舗運営、及び社員教育といった多様なサービス分野の経営層の実務家と直接的にサービスの効率化と顧客満足の両立について話し合う機会を得た。 情報収集のほかには基本モデルの構築が主たる活動として挙げられる。特に基本モデルは、対人サービスに対する顧客特性に基づくセグメントと各セグメントに対する最適接客サービス水準という2つのサービス関連情報の価値をモデル化するもので、本プロジェクトの基盤となる。このモデルを用いることで、サービス関連の情報の入手が企業の収益性にどの程度貢献するか、セグメント分類と最適サービス決定のどちらを優先すべきか、情報収集の手段として高価な最新鋭ICTに投資すべきか、といった問題に答えを出せた。 研究の発信としては、上記の学術大会でサービス研究の中間発表を実施するとともに、日本経営工学会学会誌英文号とJournal of Retailing and Consumer Services誌(Elsevier社刊)に論文が採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は本研究の初年度としてモデル構築期と位置付けており、基本的なモデル構築とそのモデルの解析的な解の特定に注力した。当初の予定通りの研究成果を出せるに至り、進捗に関しては問題無いと判断する。以下、具体的に研究進捗状況を説明する。 第一に、サービスに係る既存研究、現在進行中の諸研究プロジェクト、現実のサービス実務などの諸情報を入手に努めた。この目的のもと、研究代表者は日本経営工学会の年次大会2回、及び海外の国際大会としてINFORMS International 2018、DSI2018 Annual Conference、APIEMS2018 Conferenceに出席し、サービス研究に関する情報入手、他研究機関の研究者との意見交換などを実施した。 第二に、研究成果の発信に関しては、上記の5つの学術大会にて本研究の中間発表を行った。更には、学術論文2本(「10.研究発表」に示した論文2本)と学会プロシーディング論文2本(DSI2018大会とAPIEMS2018大会の2大会に学会プロシーディング論文あり)が採択され、発表されるに至った。 これらの現状を鑑み、当初の研究計画と比較して本プロジェクトは順調に進展していると判断する。特に基本数理モデルを用いた研究が初年度終了時点までに論文発表(Journal of Retailing and Consumer Servicesに掲載決定)に至った事実は着実な進捗を示す証拠となっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は初年度に構築した基本モデル分析を発展させることを主たる業務とする。解析的なモデル分析に加えて、コンピュータ・シミュレーションを用いたモデル構築に着手する。研究のインプットとして、先行研究調査、過剰サービスの問題やIT導入に関しての実務家(主として小売業)との意見交換、研究会や学術大会を通しての様々な専門の研究者との意見交換や最新のサービス研究の理解を継続する。 分析活動においては、平成30年度の成果であるJournal of Retailing and Consumer Services誌の掲載論文を発展させることを第一の課題とする。具体的にはより現実的な消費者行動とより具体的な企業行動を数理モデルに組み込むことで、小売りの現場におけるIT導入と顧客満足の関連性をより詳細に表現し、より現状に即した経営的意思決定を支援できるモデルの構築を目指す。 研究のアウトプットとしては、令和元年11月23日-25日に米国ニューオリンズ市で開催されるDecision Sciences Institute (DSI)年次大会、及びを令和元年12月2日-5日に石川県金沢市で開催されるAPIEMS2019国際大会での学術発表と学会Proceedings論文の刊行を計画する。更には、数理モデル分析の研究結果を学術論文として欧米学術雑誌(目標はIJPE誌かEJOR誌)に投稿することも本年度の目標とする。更には、企業へのフィードバック、及び教育の場を通して中間成果を社会に発信することで本研究活動を世の中に還元する。 平成31年度も、代表者と2名の分担者が、経営工学、サービス工学、応用心理学の3つの視点から研究プロセスを常に検証しつつ、上記の研究インプット・分析・成果発信を着実に進捗していくことで、高品質な研究成果の実現を目指していく方針である。
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