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2019 年度 実績報告書

農業と食の持続可能なビジネスモデルとイノベーションの実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18H00907
研究機関法政大学

研究代表者

小川 孔輔  法政大学, イノベーション・マネジメント研究科, 教授 (50105855)

研究分担者 山根 京子  岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (00405359)
上田 隆穂  学習院大学, 経済学部, 教授 (40176590)
西尾 チヅル  筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (80241769)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード農と食 / イノベーション / 農と食のビジネスモデル / アグリフードビジネス / CSR / ESG投資 / 植物食 / 地球温暖化
研究実績の概要

本プロジェクト研究は、農業と食品産業におけるイノベーションを類型化しつつ、持続可能なビジネスモデルを理論的に説明できる枠組みを構築することである。2年目も、3つの研究テーマについて取り組んだ。
①海外の理論実証研究については、小川(研究主査)と青木(研究協力者)がオランダを訪問し、アムステルダム自由大学のエイキング博士(Dr. Harry Aiking)にインタビューを試みた。その成果は、調査資料として『イノベーション・マネジメント研究』(法政大学)で刊行されている。内容は、植物食(Plant-based Food)が環境汚染や気球温暖化を防止する役割について論じたものである。さらに、小川は単独で、カリフォルニアの食文化の変遷に関する実態調査を敢行した。また、わさびを中心に植物の育種を研究している山根は引き続き、国内外の学会誌にわさびに関する研究論文を発表している。
②持続可能な食ビジネスの事例研究:隔月のペースで、持続可能な農と食のビジネスに取り組んでいるイノベーティブな企業組織を取り上げる「NOAFセミナー」を実施した(全4回、学外で1回)。セミナーと関連して実施した経営者へのヒアリングをもとに、小川はその成果を専門誌(食品商業)に連載した(10回)。上田は、美味しさを生み出す情報の実証研究、沖縄と能登で地域創生プロジェクトを支援した事例を報告して論文に残した。
③研究チームの共通テーマである「ビーガン/べジタリアンの消費行動研究」では、西尾が大学院生と共同論文を発表している。
なお、研究対象として主たる企業は、今年度は以下のようになる。(A)農業分野(ローソンファーム千葉、ローソンファーム兵庫、植物工場・サラ)、(B)卸会社(坂ノ途中)、(C)食品小売業(オイシックス・ラ・大地)、(D)食品加工業と地域の取り組み(ロック・フィールド、吉見光の子こども園)など。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

今年度(2019年度)は、3つの課題に取り組む計画になっていた。
①海外の研究者と企業訪問については、オランダ自由大学のエイキング博士をインタビューして大きな進展をみた。米国西海岸の視察取材(惣菜メーカーのロック・フィールドの研究支援)では、米国人の食生活の変化の背後にある健康志向について、食材供給側(サラダ専門店やファストフード店)の経営形態の変化について示唆を多く得た。後者は、当初予定されていない海外調査だった。しかも、その成果は予想以上に大きかったことが研究を進展させた。
②国内での事例研究(10事例)とセミナー開催(全5回)に関しては、ほぼ想定していた成果を上げることができた。持続可能な食ビジネスの事例研究は、隔月のペースで持続可能な農と食のビジネスに取り組んでいる革新的な企業群を取り上げた(全5回)。
③ESG投資の有効性を確認するための仮説群の構築については、コンビニ(大手3社)のデータで検証を試みが、因果関係を十分に検証することができなかった。残念ながら、データの不備というより、仮説そのものを再検討する必要があるかもしれない。

今後の研究の推進方策

2020年度においても、3つの分野の課題研究に取り組むことを予定している。
①基礎研究:農学と食品産業における先端的な研究の整理、海外の実証研究のデータ収集、持続可能なフードビジネスモデルの理論枠組み作り。
②定量調査:JCSIの流通サービス小売業 (A)CSR指標と生産性の関係(400社10年分のJCSIデータベースを活用)の定量分析の実施、(B)CSRの実態調査(雑誌 『オルタナ』の事例データベースの分析、今年度は初めて)。
③持続可能なフードビジネスの事例研究:国内では引き続き、隔月で「NOAFセミナー」を実施する(新型コロナで前期のセミナーは中断の見込み)。なお、海外現地調査は米国(西海岸)を前倒しで実施済み。とりわけ、新型コロナの影響で、当初に3年目に予定していた現地調査は実施が困難と考えられる。そこで、国内企業を中心に地方での調査を中心に推進する予定である。
実証研究で対象とする企業のリストは以下の通り。企業群には、その後にサーチした企業を加えていく。(A)農業分野(イオンアグリ創造、ドイツの植物工場・インファーム日本法人)、(B)卸会社、中間取引プラットフォーム事業(FarmO)、(C)食品小売業の実態調査(物語コーポレーション、福島屋、ヤオコー)、(D)食品加工業と地域の取り組み(相模屋食料、クリマ・氷室豚)、(E)海外視察調査(ドイツを中心に欧州、キャンセルの可能性もあり)。

  • 研究成果

    (28件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (20件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 6件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] (20)坂ノ途中(上):100年先も続く、農業を支えるプラットフォーマーになる2020

    • 著者名/発表者名
      小川孔輔
    • 雑誌名

      食品商業

      巻: 2020年4月号 ページ: 56-57

  • [雑誌論文] 美味しさを生み出す情報に関する研究枠組みの検討~ガストロフィジックスの視点から~2020

    • 著者名/発表者名
      上田隆穂
    • 雑誌名

      学習院大学 経済論集

      巻: 56(3・4合併号) ページ: 41-51

    • 査読あり
  • [雑誌論文] (19)日本最大の巨大温室群の今:SARA@笠岡干拓地2020

    • 著者名/発表者名
      小川孔輔
    • 雑誌名

      食品商業

      巻: 2020年2月号 ページ: 144-145

  • [雑誌論文] 持続可能な食料生産の地球環境への影響 ―動物性から植物性タンパク質への転換における諸課題―(ハリー・エイキング博士のアムステルダム自由大学でのインタビュー記録)2020

    • 著者名/発表者名
      小川孔輔、青木恭子
    • 雑誌名

      イノベーション・マネジメント

      巻: 17巻 ページ: 171-191

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 農と食のイノベーション(11): 続・High Five Salad、販路にこだわらない勇気が成長をドライブする2019

    • 著者名/発表者名
      小川孔輔
    • 雑誌名

      食品商業

      巻: 2019年6月号 ページ: 128-129

  • [雑誌論文] (12)オイシックス・ラ・大地(上):ミールキットのパイオニア、米国ベンチャー企業を買収2019

    • 著者名/発表者名
      小川孔輔
    • 雑誌名

      食品商業

      巻: 2019年7月号 ページ: 160-161

  • [雑誌論文] (13)オイシックス・ラ・大地(下):農産物宅配2社との経営統合の果実2019

    • 著者名/発表者名
      小川孔輔
    • 雑誌名

      食品商業

      巻: 2019年8月号 ページ: 144-145

  • [雑誌論文] (14)ローソンファーム千葉(上):農業参入への新しいアプローチ(農業FC経営)2019

    • 著者名/発表者名
      小川孔輔
    • 雑誌名

      食品商業

      巻: 2019年9月号 ページ: 160-161

  • [雑誌論文] (15)ローソンファーム千葉(下):農産品の加工と未来への投資2019

    • 著者名/発表者名
      小川孔輔
    • 雑誌名

      食品商業

      巻: 2019年10月号 ページ: 144-145

  • [雑誌論文] (16)吉見こども園:オーガニック学校給食の実践と普及の推進2019

    • 著者名/発表者名
      小川孔輔
    • 雑誌名

      食品商業

      巻: 2019年11月号 ページ: 128-129

  • [雑誌論文] (17)“フードエンターテインメント”という新しい業態の誕生(上)2019

    • 著者名/発表者名
      小川孔輔
    • 雑誌名

      食品商業

      巻: 2019年12月号 ページ: 160-161

  • [雑誌論文] 特別寄稿:米国西海岸、フードビジネス最新事業2019

    • 著者名/発表者名
      小川孔輔
    • 雑誌名

      食品商業

      巻: 2020年2月号 ページ: 10-11

  • [雑誌論文] (18)フードエンターテインメント業態(下):キャラクター・カフェのビジネスモデル2019

    • 著者名/発表者名
      小川孔輔
    • 雑誌名

      食品商業

      巻: 2020年1月号 ページ: 112-113

  • [雑誌論文] 消費者の牧場体験が酪農家および乳製品への態度及び購買意図に与える影響の調査2019

    • 著者名/発表者名
      上田 隆穂, 山中 寛子, 竹内 俊子
    • 雑誌名

      学習院大学経済論集

      巻: 56(1・2合併号) ページ: 29-69

  • [雑誌論文] 購買を通じた内集団協力に間接互恵性が与える影響2019

    • 著者名/発表者名
      水師裕、西尾チヅル
    • 雑誌名

      日本消費者行動研究学会第58回消費者行動研究コンファレンス報告要旨集

      巻: 2019年 ページ: 11-12

  • [雑誌論文] 宿泊施設におけるおもてなしサービスの測定2019

    • 著者名/発表者名
      金城奈々恵、西尾チヅル
    • 雑誌名

      サービス学会第8回国内大会講演論文集『観光の未来とサービス学:新しい観光の時代へ』

      巻: 2019年 ページ: 364-369

  • [雑誌論文] Complete chloroplast genome sequence and phylogenetic analysis of wasabi (Eutrema japonicum) and its relatives phylogenetic analysis of wasabi ( Eutrema japonicum) and its relatives2019

    • 著者名/発表者名
      Haga, N., Kobayashi, M., Michiki, N., Takao,T., Baba, F., Kobayashi, K., Ohyanagi, H., Ohgane, J.,Yano, K., Yamane,K.
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 9巻 ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ワサビ食文化考2019

    • 著者名/発表者名
      山根京子
    • 雑誌名

      vesta

      巻: 115号 ページ: 24-29

  • [雑誌論文] 生ワサビの辛味および旨味の客観的評価方法の検討2019

    • 著者名/発表者名
      山根京子
    • 雑誌名

      山葵連合会報

      巻: 第57号 ページ: 16-24

  • [雑誌論文] ワサビ-その進化の謎に迫る2019

    • 著者名/発表者名
      山根京子
    • 雑誌名

      いのち四季彩時

      巻: 31巻 ページ: -

  • [学会発表] 食を核にした、スモールテリトリー型地域ネットワークの構築(テーマ:子どもの未来を育てる食・給食と 食育菜園・Grace Farm)2020

    • 著者名/発表者名
      小川孔輔
    • 学会等名
      吉見光の子モンテッソーリ子どもの家
    • 招待講演
  • [学会発表] 地域企業のマーケティング手法と実践~地域企業のマーケティング手法と実践2020

    • 著者名/発表者名
      小川孔輔
    • 学会等名
      とちぎ経営人財塾
    • 招待講演
  • [学会発表] 農業経営:アグリビジネスとマーケティング2020

    • 著者名/発表者名
      小川孔輔
    • 学会等名
      アグリイノベーション大学校(㈱マイファーム)
    • 招待講演
  • [学会発表] 農業の次世代後継者2019

    • 著者名/発表者名
      澤浦彰治(株式会社野菜くらぶ/グリーンリーフ株式会社 代表取締役) 、澤浦えくぼ(コーネル大学/留学中)、解説:小川孔輔
    • 学会等名
      第9回ナチュラル&オーガニックビジネスセミナー(法政大学)
    • 招待講演
  • [学会発表] オーガニック学校給食を“本気で”考える2019

    • 著者名/発表者名
      山本朝子(コンサルタント)、長島成幸(吉見光の子学園理事長)、解説:小川孔輔
    • 学会等名
      第10回ナチュラル&オーガニックビジネスセミナー(法政大学)
    • 招待講演
  • [学会発表] 絶滅危惧種のわさびを守る~日本でたった一人のわさび研究家・山根京子氏を迎えて2019

    • 著者名/発表者名
      山根京子(岐阜大学准教授)、解説:小川孔輔
    • 学会等名
      第9回ナチュラル&オーガニックビジネスセミナー(法政大学)
    • 招待講演
  • [学会発表] ニューラルネットワークによる最高利益を生み出す価格掛率のシミュレーション ~全体での固定価格ポイント1つの場合とグループ別のダイナミック・プライシングの場合の比較~2019

    • 著者名/発表者名
      上田 隆穂、竹内 俊子、山中 寛子
    • 学会等名
      日本マーケティング学会 第7回マーケティングカンファレンス2019
  • [図書] 「値づけ」の思考法2019

    • 著者名/発表者名
      小川孔輔
    • 総ページ数
      286
    • 出版者
      日本実業出版社
    • ISBN
      978-534-05708-2

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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