中小企業における管理会計能力と財務業績の関係に関する経験的研究

2021 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 18H00912
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 澤邉 紀生 京都大学, 経営管理研究部, 教授 (80278481)
• 研究分担者: 飛田 努 福岡大学, 商学部, 准教授 (60435154) ; 岡田 幸彦 筑波大学, システム情報系, 教授 (80432053) ; 足立 洋 県立広島大学, 地域創生学部, 准教授 (60585553) ; 吉川 晃史 関西学院大学, 商学部, 教授 (20612930) ; 篠原 巨司馬 福岡大学, 商学部, 教授 (90580168) ; 福島 一矩 中央大学, 商学部, 教授 (50548881) ; 尻無濱 芳崇 神奈川大学, 経営学部, 准教授 (20728331) ; 黒木 淳 横浜市立大学, 国際商学部, 教授 (00736689) ; 市原 勇一 北九州市立大学, 経済学部, 准教授 (80781830) ; 庄司 豊 琉球大学, 国際地域創造学部, 講師 (90910381)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2022-03-31
• キーワード: 管理会計 / 臨床会計学 / 経営会計専門家 / プロスコープ / 管理会計能力 / 財務業績

研究実績の概要

本研究の実績は、（1）中小企業における管理会計能力と財務業績の関係を臨床会計学に基づいて研究する経験的研究プラットフォームの構築、（2）同プラットフォームを用いた定性的研究、（3）同プラットフォームを用いた定量的研究、の三つに大別される。
（1）中小企業を対象とする臨床会計学に基づく経験的管理会計研究プラットフォームの構築については、実務家である全国の中堅会計事務所と管理会計研究者をネットワーク化するため日本経営会計専門家協会を設立し、顧客企業の管理会計能力構築支援活動の一環として能力評価を行い、そのデータに基づいてどのような要素や関係が顧客偉業のパフォーマンスに影響するのかを定性的/定量的に分析する関係を形成した。
（2）臨床会計学的研究プラットフォームを用いて、管理会計能力の構築がどのように中小企業の成長や財務業績の改善に結びついているのか、事例を収集整理し、経営者の管理会計利用目的やアスピレーションレベルが管理会計能力とパフォーマンスの関係に影響を及ぼすといった検証可能な命題を抽出した。また、これら事例は実務家が研究成果をそれぞれのおかれたコンテキストに則して理解し活用するさいにも役立つことが確認された。
（3）臨床会計学的研究プラットフォームを用いた定量的分析（プロスコープによる観察・観測と分析）を行うことで、経営者のアスピレーションレベルが閾値以下の場合は管理会計能力の向上が財務業績に結びつかないこと、管理会計能力と労働生産性の関係には経営者の節税志向や企業規模が影響することなどが示唆されるなどの結果を得た。また、定量的な分析を通じて、実務家による管理会計能力評価のばらつきが無視できないことも示唆され、臨床会計学的研究プラットフォームの改善に向けて評価フレームワークと評価能力の向上が必要だということが判明した。

現在までの達成度 (段落)

令和3年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和3年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] 現象の理論化と管理会計―同時進行的なリサーチ・クエスチョンの構築とそれを支援する諸要素― (2023)
  • 著者名/発表者名: 足立洋
  • 雑誌名: 會計 巻: 203(2) ページ: 28-39
• [雑誌論文] わが国非製造業における業績管理の特徴と利用：実態調査の結果報告 (2023)
  • 著者名/発表者名: 福島一矩
  • 雑誌名: 商学論纂 巻: 64(5/6) ページ: 137-155
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] 業績管理会計は利益率の水準と統制に影響を与えるか？：中小企業を対象とした疑似実験 (2022)
  • 著者名/発表者名: 尻無濱芳崇・地多佑介・岡田幸彦
  • 雑誌名: 会計プログレス 巻: 23 ページ: 103-117
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 日本企業における管理会計人の管理者支援の役割に関する考察―松下電器産業における経理社員制度の導入・展開に着目して― (2022)
  • 著者名/発表者名: 足立洋
  • 雑誌名: 県立広島大学地域創生学部紀要 巻: 1 ページ: 47-63
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] 日本企業の組織能力と業績管理の利用：実態調査の結果報告 (2022)
  • 著者名/発表者名: 福島一矩
  • 雑誌名: 企業研究 巻: 40 ページ: 53-68
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] 中小企業における会計知識がMCSの採用に与える影響とその経済的帰結 (2022)
  • 著者名/発表者名: 福島一矩・牧野功樹・妹尾剛好・新井康平・町田遼太
  • 雑誌名: 企業研究 巻: 40 ページ: 41-52
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] Management control systems effect on the micro-level processes of product innovation (2022)
  • 著者名/発表者名: Biswas Sharlene Sheetal Narayan、Akroyd Chris、Sawabe Norio
  • 雑誌名: Journal of Accounting and Organizational Change 巻: 19 ページ: 326-350
  • DOI: 10.1108/jaoc-07-2021-0093
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] AI・DXの進展と会計研究・教育 (2022)
  • 著者名/発表者名: 澤邉紀生
  • 雑誌名: 會計 巻: 201(6) ページ: 52-66
• [雑誌論文] 企業会計-アメーバ経営研究から着想を得た臨床会計学 (2022)
  • 著者名/発表者名: 澤邉紀生
  • 雑誌名: 中央経済社 巻: 75(2) ページ: 32-36
• [雑誌論文] 中小企業における管理会計と財務業績の関係ー管理会計システムの整備度と管理会計活用能力のギャップに着目してー (2021)
  • 著者名/発表者名: 市原勇一, 黒木淳, 尻無濱芳崇, 福島一矩
  • 雑誌名: 北九州市立大学商経論集 巻: 56（1-4） ページ: 35-47
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] 中小企業の事業承継を通じた管理会計システムの進展プロセス : 株式会社ヤスダモデルの事例 (2021)
  • 著者名/発表者名: 吉川 晃史
  • 雑誌名: 商学論究 巻: 第68巻第4号 ページ: 199-218
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] ROIC経営の導入と組織浸透 : オムロン,ピジョン,LIXILに学ぶ(第1回) (2021)
  • 著者名/発表者名: 浅田 拓史, 足立 洋, 篠原 巨司馬, 吉川 晃史, 上總 康行
  • 雑誌名: 企業会計 巻: 73(8) ページ: 1126-1131
• [雑誌論文] ROIC経営の導入と組織浸透 : オムロン,ピジョン,LIXILに学ぶ(第2回) (2021)
  • 著者名/発表者名: 浅田 拓史, 足立 洋, 篠原 巨司馬, 吉川 晃史, 上總 康行
  • 雑誌名: 企業会計 巻: 73(9) ページ: 1265-1269
• [雑誌論文] ROIC経営の導入と組織浸透 : オムロン,ピジョン,LIXILに学ぶ(第3回) (2021)
  • 著者名/発表者名: 浅田 拓史, 足立 洋, 篠原 巨司馬, 吉川 晃史, 上總 康行
  • 雑誌名: 企業会計 巻: 73(10) ページ: 1416-1422
• [学会発表] 事業承継と中小企業の管理会計実態?同族企業における継承への意思と管理会計プロセスの整備状況との関係? (2022)
  • 著者名/発表者名: 足立洋
  • 学会等名: 日本経営会計専門家研究学会
• [学会発表] 現象の理論化と管理会計～高不確実性下の業績管理会計～ (2022)
  • 著者名/発表者名: 足立洋
  • 学会等名: 日本会計研究学会第81回大会
  • 招待講演
• [学会発表] 管理会計における診断学の構想 (2021)
  • 著者名/発表者名: 尻無濱芳崇、黒木淳
  • 学会等名: 第86回京都管理会計研究会
• [学会発表] 業績管理会計は利益率の水準と制御に影響を与えるか？ー中小企業を対象とした定量的分析ー (2021)
  • 著者名/発表者名: 尻無濱芳崇・地多佑介・岡田幸彦
  • 学会等名: 日本会計研究学会第80回大会
• [学会発表] 日本企業における管理会計人の役割に対する影響要因の考察―本社所属の事業部管理会計人が果たす２つの役割とその関係性― (2021)
  • 著者名/発表者名: 足立洋，篠原巨司馬，浅田拓史
  • 学会等名: 日本原価計算研究学会
• [学会発表] 中小企業における後継者確保の可能性と管理会計～後継者確保状況と管理会計実態に関する探索的研究～ (2021)
  • 著者名/発表者名: 足立洋
  • 学会等名: 日本管理会計学会2021年度第2回関西・中部部会
• [図書] 実務に活かす管理会計のエビデンス（Chapter11「管理会計担当者に求められるスキル」) (2022)
  • 著者名/発表者名: 加登豊・吉田栄介・新井康平編著(Chapter11,市原勇一)
  • 総ページ数: 344
  • 出版者: 中央経済社
  • ISBN: 9784502420016
• [図書] 実務に活かす管理会計のエビデンス(Chapter34「実務と学術的議論のギャップの理解と克服に向けて」) (2022)
  • 著者名/発表者名: 加登豊・吉田栄介・新井康平編著(Chapter34,福島一矩・篠原巨司馬)
  • 総ページ数: 344
  • 出版者: 中央経済社
  • ISBN: 9784502420016
• [図書] 実務に活かす管理会計のエビデンス(Chapter11「管理会計担当者に求められるスキル」) (2022)
  • 著者名/発表者名: 加登豊・吉田栄介・新井康平編著(Chapter11,市原勇一)
  • 総ページ数: 344
  • 出版者: 中央経済社
  • ISBN: 9784502420016
• [図書] 公会計データで読み解く地方財政改革 (2022)
  • 著者名/発表者名: 澤邉 紀生、吉岡 和守
  • 総ページ数: 182
  • 出版者: 西日本出版社
  • ISBN: 978-4908443718
• [図書] コマツのダントツ経営―SVM管理と管理会計改革― (2021)
  • 著者名/発表者名: 上總康行
  • 総ページ数: 336
  • 出版者: 中央経済社
  • ISBN: 4502369519