東アジアの気候変動政策とエネルギー政策の政策形成過程の比較研究

2020 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 18H00919
• 研究機関: 尚絅学院大学
• 研究代表者: 長谷川 公一 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 特任教授 (00164814)
• 研究分担者: 喜多川 進 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (00313784) ; 池田 和弘 日本女子大学, 人間社会学部, 准教授 (20590813) ; 野澤 淳史 東京経済大学, 現代法学部, 講師 (30758503) ; 佐藤 圭一 一橋大学, 大学院社会学研究科, 講師 (40757093) ; 中澤 高師 東洋大学, 社会学部, 教授 (50723433) ; 平尾 桂子 上智大学, 地球環境学研究科, 教授 (70158335) ; TRENCHER GREGORY 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (90802108)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2021-03-31
• キーワード: カーボンニュートラル / 気候危機 / パリ協定 / 脱炭素社会 / 比較政策過程分析 / 政策ネットワーク / 政策波及研究

研究実績の概要

気候変動の政策過程における、非国家アクターとしての地方自治体、および中央政府との協働に注目する。 2019年12月に自治体に対して環境省が宣言を呼びかけて以降の、自治体における実質ゼロ宣言の広がりも、非国家アクターのイニシアティブの重要性を示している。本研究では、政策波及研究の枠組みと知見を援用し、日本における二酸化炭素排出実質ゼロ宣言の波及過程とそのメカニズムを社会学的な観点から明らかにした。2020年10月の菅首相(当時)によるカーボンニュートラル宣言およびその後の2030年度削減目標の引き上げは、気候変動政策の大きな転換だった。とくに従来の積み上げ方式による削減目標設定から、将来のあるべき姿から逆算し、より近い将来および現在の目標値を設定していくという点で、バックキャスティング方式の導入という意義を持つ。具体的には国と自治体の双方向の垂直的な影響、自治体間の水平的な波及過程、 国際都市ネットワークからの波及、 その他の促進／阻害要因を、日本政府を含む全国的な波及過程研究と神奈川県の事例研究から明らかにした。神奈川県の各自治体担当者への半構造化インタビューと文献資料調査の結果、まず国際都市ネットワークに繋がる先進的自治体が宣言し、それに注目した国が自治体へ宣言を呼びかけ、宣言自治体の増加が国によるゼロ宣言の一因となり、自治体の宣言がさらに促進されていくという、垂直的波及と水平的波及の連鎖過程が明らかになった。横浜市、川崎市、相模原市、神奈川県は地球温暖化対策計画書制度の導入自治体であり、横浜市は環境モデル都市や環境未来都市に選定されているなど、環境政策に積極的である。気候変動政策に積極的で様々な動向に注目している自治体ほど早期に宣言する傾向があることが明らかになった。同様に、SDGs未来都市など、バックキャスティング的な発想を含むSDGsとの関連性が示唆された。

現在までの達成度 (段落)

令和2年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和2年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [国際共同研究] Indian Institute of Technology, Kampur(インド)
  • 国名: インド
  • 外国機関名: Indian Institute of Technology, Kampur
• [国際共同研究] Helsinki University(フィンランド)
  • 国名: フィンランド
  • 外国機関名: Helsinki University
• [国際共同研究] University of Konstanz(ドイツ)
  • 国名: ドイツ
  • 外国機関名: University of Konstanz
• [国際共同研究] University of Bern(スイス)
  • 国名: スイス
  • 外国機関名: University of Bern
• [国際共同研究] 台湾大学(その他の国・地域)
  • 国名: その他の国・地域
  • 外国機関名: 台湾大学
• [国際共同研究]
  • 他の国数: 1
• [雑誌論文] 気候変動政策の転換と2050年CO2排出量実質ゼロ宣言: 垂直的波及と水平的波及の連鎖 (2023)
  • 著者名/発表者名: 中澤 高師, Trencher Gregory, 辰巳 智行, 長谷川 公一
  • 雑誌名: 土木学会論文集 巻: 79 ページ: -
  • 査読あり
• [雑誌論文] Net‐zero carbon declarations by Japanese local governments: What caused the domino‐like diffusion? (2023)
  • 著者名/発表者名: Nakazawa Takashi、Satoh Keiichi、Trencher Gregory、Tatsumi Tomoyuki、Hasegawa Koichi
  • 雑誌名: Review of Policy Research 巻: - ページ: -
  • DOI: 10.1111/ropr.12544
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Contributions of Japanese Environmental Sociology in Non-Western Contexts (2023)
  • 著者名/発表者名: Hasegawa Koichi
  • 雑誌名: Handbook of Post-Western Sociology: From East Asia to Europe 巻: - ページ: 691-709
  • 査読あり
• [雑誌論文] 環境政策史からみた環境政策研究の展望 (2022)
  • 著者名/発表者名: 喜多川 進
  • 雑誌名: 環境情報科学 巻: 51 ページ: 37～41
  • DOI: 10.11492/eis.51.2_37
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 地方自治体の2050年二酸化炭素排出実質ゼロ宣言 ： 気候変動政策に関する自治体調査から (2021)
  • 著者名/発表者名: 辰巳 智行、長谷川 公一、中澤 高師、佐藤 圭一、野澤 淳史、池田 和弘、喜多川 進、小西 雅子、トレンチャー グレゴリー、平尾 桂子
  • 雑誌名: 静岡大学情報学研究 巻: 26 ページ: 1～22
  • DOI: 10.14945/00028101
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] The Advocacy Coalition Index: A new approach for identifying advocacy coalitions (2021)
  • 著者名/発表者名: Satoh Keiichi、Gronow Antti、Yla‐Anttila Tuomas
  • 雑誌名: Policy Studies Journal 巻: 51 ページ: 187～207
  • DOI: 10.1111/psj.12450
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Japanese environmental sociology: Focus and issues in three stages of development (2021)
  • 著者名/発表者名: Hasegawa Koichi
  • 雑誌名: International Sociology Reviews 巻: 36 ページ: 289～301
  • DOI: 10.1177/02685809211005372
  • 査読あり
• [雑誌論文] 気候危機をめぐる参加と連帯 (2021)
  • 著者名/発表者名: 長谷川 公一
  • 雑誌名: ノンプロフィット・レビュー 巻: 20 ページ: 69～78
  • DOI: 10.11433/janpora.NPR-SI-20-00004
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 気候危機と日本社会の消極性: 構造的諸要因を探る (2020)
  • 著者名/発表者名: 長谷川 公一
  • 雑誌名: 環境社会学研究 巻: 26 ページ: 80～94
  • DOI: 10.24779/jpkankyo.26.0_80
  • 査読あり / オープンアクセス
• [学会発表] Declarations for Net-Zero By 2050 As a Turning Point for Climate Policy: Linkages between Vertical and Horizontal Diffusion (2023)
  • 著者名/発表者名: Nakazawa Takashi and Tatsumi Tomoyuki
  • 学会等名: XX ISA World Congress of Sociology, Melbourne, Australia
  • 国際学会
• [学会発表] Youth Action for Climate Crisis Protection: Fridays for Future, Global and Japan (2023)
  • 著者名/発表者名: Hasegawa Koichi
  • 学会等名: XX ISA World Congress of Sociology, Melbourne, Australia
  • 国際学会
• [学会発表] Opportunity Structures and Advocacy Coalitions in Climate Politics: A Network Approach (2023)
  • 著者名/発表者名: SATOH Keiichi, Antti GRONOW and Tuomas Yla-ANTTILA
  • 学会等名: XX ISA World Congress of Sociology, Melbourne, Australia
  • 国際学会
• [学会発表] Accelerators of Homophily: Examining the Effect of Actor-Level Network Formation Principles on Whole Network Structure with Agent-Based Modeling and Climate Change Policy Networks (2023)
  • 著者名/発表者名: SATOH Keiichi and Hao LIANG
  • 学会等名: XX ISA World Congress of Sociology, Melbourne, Australia
  • 国際学会
• [学会発表] Critically Examining Proposed Pathways to Net-Zero By 2050 for BP, Chevron, Exxonmobil and Shell (2023)
  • 著者名/発表者名: Trencher Gregory
  • 学会等名: XX ISA World Congress of Sociology, Melbourne, Australia
  • 国際学会
• [図書] Handbook of Post-Western Sociology: From East Asia to Europe (2023)
  • 著者名/発表者名: Laurence Roulleau-Berger, Li Peilin, Kim Seung Kuk, Yazawa Shujiro eds.
  • 総ページ数: 999
  • 出版者: Brill
  • ISBN: 9789004529311
• [図書] 環境社会学入門 (2021)
  • 著者名/発表者名: 長谷川 公一
  • 総ページ数: 288
  • 出版者: 筑摩書房
  • ISBN: 9784480074119
• [図書] Climate Change Governance in Asia (2020)
  • 著者名/発表者名: Chou KT, Hasegawa K, Ku D, Kao SF
  • 総ページ数: 308
  • 出版者: Routledge
  • ISBN: 9780367227005
• [備考] COMPARING CLIMATE CHANGE POLICY NETWORKS (COMPON)
  • URL: https://compon.org/
• [備考] 社会学者・長谷川公一のWebsite
  • URL: http://www.hasegawakoichi.com/