研究実績の概要 |
本研究の目的は、「もう一つの世界」を追求する社会運動の多様性を比較検討することによって、これらの運動が提唱する新しい価値観に基づく「ポスト新自由主義時代」の社会とはどのようなものなのか、その可能性と限界はどこにあるのかを探求することである。世界的な新型コロナウイルスの流行の影響により、当初予定していたフィールドワークを実施する見通しがたたなかったことから、フィールドに赴くことができなくても実施できる研究方法である量的な抗議イベント分析法を主体に国際共同研究プロジェクトを継続することとし、ラテンアメリカ地域の社会運動・抗議行動研究に焦点をあてることとした。 2022年度は、5月にリモート形式で開催されたラテンアメリカ研究学会(Latin American Studies Association, LASA)の年次大会にてラテンアメリカの抗議行動とイベント分析に関する研究成果報告を行った。また、11月から12月にかけて国際合同研究会をチリにて実施した。チリのロス・ラゴス大学において、日本・チリ学術フォーラムの一環としてワークショップを組織し、10名からなる研究成果報告会を実施した。 2022年度に実施する予定であった最終合同研究会と出版社との書籍編集作業を、2023年度に実施することにした。最終合同研究会については、ラテンアメリカ研究学会の年次大会(5月にカナダのバンクーバーにて開催)と、東京大学と京都大学におけるワークショップ(2024年2月から3月)の2回に分けて実施した。書籍編集作業については、ニューメキシコ大学出版会の編集部とその作業を継続し、2024年4月1日に刊行した。
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