研究課題/領域番号 |
18H00929
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研究機関 | 千葉商科大学 |
研究代表者 |
荒川 敏彦 千葉商科大学, 商経学部, 准教授 (70534254)
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研究分担者 |
宇都宮 京子 東洋大学, 社会学部, 教授 (90266990)
北條 英勝 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (20308042)
高橋 典史 東洋大学, 社会学部, 教授 (50633517)
下村 育世 東洋大学, 人間科学総合研究所, 客員研究員 (00723173)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 生活意識 / 呪術 / テキストマイニング / 靖国神社 / 神棚・仏壇 / 運命 / 占い / お守り |
研究実績の概要 |
研究初年度である2018年度は、調査票作成の前段階として2005年および2006年の新聞(朝日・毎日、朝夕刊)データベースから「生活意識」に関わる各語彙を含んだ記事を対象にテキストマイニングを行い、各「生活意識語」の背景にある言説の布置連関の素描を試みた。 分析の結果、各語彙使用の背景に4つの言説空間、すなわち①政治・外交・靖国参拝、②宗教・歴史・時代・戦争・社会、③人間・心・女性・家族・父・母・運命、④世界・映画・監督、の存在を仮説として見いだせた。以下、各々の語彙を含む記事の布置を分析した概略を示す(山カッコが生活意識語)。 上記の言説①と強い関連を示した語は、〈初詣〉〈迷信〉〈葬〉〈宗教〉〈祈り〉だった。〈初詣〉は靖国参拝や外交などの政治的文脈の記事が影響している。〈迷信〉の政治性は、迷信に関する報道の規制の記事が影響した。言説②と強い関連を示したのは、〈仏壇〉〈神棚〉〈迷信〉〈葬〉〈宗教〉〈祈り〉〈願い〉〈念じ〉だった。〈宗教〉は、人間や心との結びつき(言説③)は強くなく、むしろ靖国神社と宗教法人との関連、キリスト教とイスラムとの関連の二つに布置が割れた。とくにキリスト教との関連が強く、日本における〈宗教〉概念の位置が窺える。〈葬〉は、ヨハネ・パウロ2世の死去に伴い、各国首脳の法王の葬儀への出席に関する記事が影響した。また葬儀の変化や費用に関する記事も多い。「家族葬」など新しい葬儀のあり方に関する言説は言説③とも関連する。言説③と強い関連を示したのは、〈仏壇〉〈神棚〉〈葬〉〈運命〉〈占い〉〈祈り〉〈願い〉〈念じ〉〈お守り〉だった。〈占い〉は女性との結びつきが強く出たが、意外にも③を構成する「心」等との関連は希薄である。言説④と強い関連を示したのは、〈運命〉〈念じ〉だった。〈念じ〉は「サッカー」「ブラジル」などサッカーのワールドカップの記事が多く、スポーツの影響が興味深い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に沿って、2006年調査の時期に関する新聞記事から、本研究のテーマに関連する語彙を含んだ記事を抽出し、テキストマイニングを実施し分析を進めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に沿って研究を進める。研究2年目は、研究初年度の成果を活かしながら、東京都23区民を対象とした調査を実施する。調査時期は、前回2006年調査との比較可能性を考慮して2020年1月とする。その後、調査結果を精査し、分析を進めることになる。調査に当たっては、調査倫理を遵守するとともに、本研究の重要なテーマである「秩序化」という過程のダイナミズムを分析・考察できるよう、2006年調査との比較可能性を考慮することが重要である。あわせて、今回調査の社会的背景を可視化すべく、今回の東京都23区民調査の時期にあたる新聞記事に加え、雑誌記事も対象としてテキストマイニングを行う予定であり、その準備を進める。
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