研究課題/領域番号 |
18H00929
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研究機関 | 千葉商科大学 |
研究代表者 |
荒川 敏彦 千葉商科大学, 商経学部, 准教授 (70534254)
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研究分担者 |
宇都宮 京子 東洋大学, 社会学部, 教授 (90266990)
北條 英勝 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (20308042)
高橋 典史 東洋大学, 社会学部, 教授 (50633517)
下村 育世 東洋大学, 人間科学総合研究所, 客員研究員 (00723173)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 生活意識 / 呪術 / 調査 / 神秘主義 / 文化活動 / 改暦 |
研究実績の概要 |
研究2年目にあたる2019年度は、本研究の中心となる意識調査を実施する年度である。そのため、調査票の検討と完成、実査に関する手続き(調査倫理に関する研究代表者の学内審査等)が、研究会全体としての主な仕事となった。調査は以下の通り行った。東京都23区民を対象に、各地域の人口比により5,100の標本を比例配分し、各区が保有する選挙人名簿から等間隔抽出法により行った(選挙人名簿の閲覧が許可されなかった区については住民基本台帳の閲覧申請を行った)。調査期間は2020年1月17日から1月31日までとし、郵送法にて、最終的に1704票(33.4%)の有効回答を得た。 その間並行して、各研究者は宗教性ないし「呪術的なもの」に関連する研究を進めた。荒川は、宗教性の個人化について長期的展望を与えてくれるエルンスト・トレルチの「神秘主義」類型について記述された『キリスト教の諸教会と諸集団の社会教説』をめぐり、W・グラーフ氏とシンポジウムにおいてコメントおよび討議した。高橋は、ヨーロッパにおける日系宗教団体の活動、とくに文化活動の地域における役割についての調査の成果を英語論文にまとめた。また現代日本のベトナム系住民に向けた、宗教によるサポートに関する調査を進め、その成果の一部を国際学会で報告した。さらに、日米関係が悪化したハワイにおける日系移民と宗教との関わりについて、研究成果を2冊の論集へ寄稿した。下村は、国の行政文書調査から、明治6年の改暦前後期に、これまで知られてこなかった様々な改暦案が民間から建議されていたことを見出した。共通した特徴の一つは、年始を立春にする点である。旧暦では年始は平均して立春になることからも、ここからは民間の生活秩序を活かす暦法改革が目指されていたことがわかる。改めて明治改暦で採用された暦における人々の生活秩序との乖離の問題を考える必要を感じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に沿って、東京都23区民への意識調査を予定した時期(2020年1月)に実施し、ほぼ予想通りの回収率(33.4%)を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には当初の研究計画に沿って研究を進める。3年目の課題の一つは、23区民調査の調査結果の分析である。調査結果を基に、性差、年代差、神道的事象と仏教的事象での差など、呪術意識と社会的属性との関連および布置を、数量化Ⅲ類も用いながら詳細に解明することが、主要な課題となる。課題の二つ目は、新聞や雑誌等のメディアにおける宗教的・呪術的言説についてテキスト分析(2018~2020年分)である。ただしテキスト分析については、新型コロナウィルス感染問題のため図書館等での資料収集が不可能になっていること等の理由から、大幅に縮小せざるを得ない。したがって研究3年目は、時代の言説動向との関連にも注目しながら、主として東京都調査の結果分析を中心に研究を進める予定である。
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