研究課題/領域番号 |
18H00929
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研究機関 | 千葉商科大学 |
研究代表者 |
荒川 敏彦 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (70534254)
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研究分担者 |
宇都宮 京子 東洋大学, 社会学部, 教授 (90266990)
北條 英勝 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (20308042)
高橋 典史 東洋大学, 社会学部, 教授 (50633517)
下村 育世 東洋大学, 人間科学総合研究所, 客員研究員 (00723173)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 生活意識 / 呪術 / 仏壇・神棚 / 生き方、生活態度 / 運命 / 易占 / 生活満足度 |
研究実績の概要 |
2020年度は、2020年1月に実施した東京都23区民(20歳~79歳、男女)5,100人を対象とする調査(郵送配布・回収法)について、2006年調査との簡単な比較を交えながら、基本的な分析を実施した。その基本的な部分については『中間報告書』としてまとめ、発表した。全体は(1)行事・慣行、(2)祈願、(3)易占、(4)呪術的行為、(5)超人知現象を信じるか/宗教的感情、(6)生き方、(7)人間観・科学観、(8)地域活動への参加、(9)生活満足度、(10)来し方行く末、(11)宗教・信仰、(12)投票行動、の大きく12のセクションに分けられる。
ここで「(4)呪術的行為」を例にすると、おみくじ、姓名判断、家相(風水)、北枕、厄年、忌み言葉、新聞・雑誌の占い欄の7項目それぞれについての結果について「気にするか/しないか」を尋ねたところ、厄年についてのみ「気にする」人が50%を超えた(61.4%)。それ以外はほぼ3割半ばから4割後半の人が「気にする」という回答であった(新聞・雑誌の占い欄の結果についてのみ、「気にする」という回答が29.2%と3割を下回った)。「おみくじの結果」についても48.5%が「気にする」と回答している。このように、多くの人が習俗的とも言える伝統的な呪術的なことを気にしているという現状を把握することができた。
興味深いのは、そうした2020年調査の傾向が2006年調査の傾向とほぼ一致し、ここの項目について見ても回答の比率が近似していることである。たとえば厄年を気にする比率は2006年調査では64.3%であったし、新聞・雑誌の占い欄を気にする比率は2006年調査では27.7%であった。この変化のなさについて分析することが、新たな重要課題として浮上した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年1月調査の調査結果について、今後の分析の基礎となるデータを整理して『中間報告書』にまとめることができたことと、2006年調査と2020年調査の比較について概観した研究成果を発表したことを踏まえて進捗を評価した。
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今後の研究の推進方策 |
研究4年目の2021年度は、2020年1月調査の精緻な分析を行うことを中心とする。同時に2006年1月調査との比較を進めていく。とりわけ2020年調査では、2006年調査の質問から外した二項目、すなわち政治関連項目(投票行動・支持政党)および世帯の収入との関連も含めた考察をすることが可能である。また「実績の概要」欄に記述したとおり、2020年調査結果と2006年調査結果を比較すると、多くの項目で回答データが近似していることが明らかになった。21世紀初頭の14年間の社会的動向や、日本社会(東京23区)の意識形成に協力に作用する社会構造のあり方、一見変化がないように見えながら別の要因が働いている可能性、などを検討していくことが必要となる。新型コロナウィルスの感染問題によって、今年度も対面での研究会の開催が困難であることが予想され、研究を進めるうえで大きな障害ではあるが、オンラインでの会合で代替しながら、来年の最終年度のまとめに向け、2020年調査結果についての分析と2006年調査との比較の二本柱で研究を進めていく予定である。
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