研究課題/領域番号 |
18H00931
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
竹ノ下 弘久 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (10402231)
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研究分担者 |
長松 奈美江 関西学院大学, 社会学部, 准教授 (30506316)
阪口 祐介 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (50589190)
石田 賢示 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (60734647)
佐藤 嘉倫 東北大学, 文学研究科, 教授 (90196288)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 階層 / 不平等 / 労働市場 / 移民 / 公的統計 / 因果推論 / マルチレベル分析 |
研究実績の概要 |
今年度は、階級・ジェンダー・エスニシティの視点から、家族と労働市場の中で生じる不平等を明らかにするために、次のことを行った。第1に、入手した公的統計データと構築した仮説に基づいて、分析作業を進めた。外国人班では、労働市場、国際結婚、子どもの教育機会の不平等についての分析を進めた。家族と労働市場班では、自営業、非正規雇用、賃金、ジェンダーについて分析を進めた。 第2に、分析手法についての検討を行った。統計的因果推論、反実仮想分析、要因分解などを用いて、大規模公的統計データの分析を進めた。第3に、これらと並行して、小規模なミクロデータの分析も行った。第4に、分析結果の検討をプロジェクト全体で行うため、全体会合を合計6回開催した。コロナ禍のために、すべてオンラインでの開催となった。また、研究代表者が研究分担を務める他の科研プロジェクトと共催で、オンラインでの講演会を2回開催した。今年度の研究活動は、コロナ禍により、研究活動が制約されたものの、その分、オンラインでの研究会、講演会を合計で6回開催するなど、研究会の活動方式を工夫し、プロジェクト内部でのコミュニケーションを頻繁に取るなど工夫した。 第5に、当初の予定には含めていなかったが、新型コロナウィルスの感染拡大は、本プロジェクトの研究テーマである家族と労働市場の中で生じる不平等に大きな影響を与えるものであった。そのため、外部の研究者をお招きして、新型コロナのパンデミックと不平等との関係について、講演会を開催し、近年の不平等の動向について専門的知識の提供を受けた。さらに他の科研プロジェクトと共催で、第70回数理社会学会大会にて、コロナ禍の中の仕事と家族というテーマで大会シンポジウムを企画した。第6に、日本国内や海外でオンラインにて開催された学会大会に参加し、資料収集を行った。一部の学会では、分析結果の中間報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、現状ではおおむね順調に研究活動を進めることができている。とはいえ、新型コロナウィルスの感染拡大によって、研究活動の形態については大きな制約を受けていることも確かである。対面での研究会を開催することができないため、すべてオンラインにて研究会を開催しなければならなかった。また、最近の研究動向を把握し、専門的知識を収集するためには、国内外の学会大会への参加は非常に重要である。しかし、これらの学会大会もすべてオンラインでの開催となった。とりわけ、欧米諸国で開催される学会大会の場合、時差のため日本時間の深夜に開催されるセッションに参加することとなり、日中の活動に大きな支障をきたすこととなった。 対面での研究者同士のコミュニケーションや対話が、新たな着想や示唆を得るうえで重要な要素となっていたことを、本年度のコロナ禍で痛感したものの、研究活動自体はおおむね順調に進めることができたと考えている。国勢調査を用いた分析では、分析結果を本プロジェクトの全体会合や学会大会で報告し、その成果を投稿論文として取りまとめている。一部の成果についてはすでに論文として取りまとめ、国際的な学術雑誌に投稿し、審査中である。また、コロナ禍は家族と労働市場の不平等の形成に大きなインパクトを与えているため、このテーマでの講演会や学会大会でのシンポジウムを企画するなど、最新の不平等の動向の把握に努めた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、新型コロナウィルスの感染拡大により、研究活動の形態が著しく制約され、すべての会合をオンラインで実施しなければならなくなった。対面での会合が難しい状況は、2021年度も継続することが予想される。そのため、本年度も大半の会合をオンラインで実施しなければならないだろう。本年度はプロジェクトの最終年度に当たるため、研究成果の取りまとめを行う。必要に応じて、国内、国外の学会にて研究成果を報告し、内外の専門家のチェックを受ける。研究成果を科学研究費研究成果報告書として、刊行し、オンライン上におき、あわせて少量部数を印刷し、関係者に配布する。研究成果を内外に発信するため、講演会やシンポジウムなども企画したい。
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